緊急!京都スクランブル

京都駅八条口のビジネスホテルは朝食付きで¥5400。宵山の日に空いてただけでも御の字だが、アクセスも抜群で有意義な時間を過ごせた。ベッドの寝心地も良く、お風呂だけでも3回入ったので元は取れたに違いない。奈良の汗を流して京都駅を抜け、四条烏丸方面へ向かうが、どうも人の流れがよくわからない。浴衣の女性はおそらく地下鉄で会場入りするのであろうが、せっかくなので位置関係の把握も含めて歩きたい。駅に一番近い保昌山の山車にたどり着いてようやく祇園祭感を味わえたが、そもそも祇園祭ってなんだろうかと予備知識がないまま来てしまったため、楽しむべきポイントが分からない。ちまきという玄関に飾るお守りを買うのがマストらしいが、そんな習慣はないのでスルー。鹿児島でちまきといえば餅米を灰汁で蒸した灰汁巻きを指すため、ずっと食いもんだと思っていて当てが外れたのだ。

 御朱印みたいなスタンプラリー(有償)もできるらしいが、山鉾全て回ったらおそらく膝腰に加えて財布も崩壊必至。じゃー何を楽しめばいいのさ?と焦りに駆られつつ四条河原町の歩行者天国へ行ってみると、急に空気が緊迫し、警官と見物客とのつば迫り合いが見られるように。お祭り自体が3年ぶりとあって警官の誘導もヘタクソ感が垣間見え、客の文句もヒートアップ!オオゥ修羅場ぞなと達観しつつも、歩行者天国が解禁された途端、通勤ラッシュにも似た混雑で足腰が悲鳴をあげたため、自撮り棒で俯瞰写真を撮って早々に撤退する事に。地下鉄四条烏丸駅の成城石井で賞味期限間近のパンやお惣菜を買いだめして、ホテルで贅沢な夕食も頂いた。終わりよければなんとやら、幸先の良い旅路であったように思う。

 翌日は楽しみだった無料朝食。ドミトリーとかで見られるセルフスタイルのビュッフェで、久しぶりに目撃したポップアップ・トースターで焼いた食パン2枚にジャムとマーガリンを乗っけて、コーンスープに野菜ジュース、コーヒーと?ジェネリック「チキンラーメン」!?これは新しいというか、初めて拝見したメニューであったが、麺入りの鶏ガラスープと考えればなかなかに優秀。普段なら残すこの手のスープも、今後の発汗を見込んで完食。なかなか満足度の高いモーニングであった。今日は潔くキャリーケースを京都駅に預けて、最低限の機材で遊ぶ。まずは昨夜徘徊した河原町へ地下鉄で移動し、山鉾巡業と呼ばれる市中引き回しにおいて、辻回しと呼ばれる、山車が交差点で進行方向を変えるための儀式を見られる場所へ。最前列は確保できなかったが、三列目くらいからジワジワ体を押し込んで、最終的には撮影に適した視界を手に入れる。私がいる場所が八坂神社の目抜き通りに相当するため、山車は辻回しの前に立ち止まって神様へ挨拶。大きな木の車輪の下に竹の皮を敷き詰め、道路との摩擦を軽減してから、巨大な綱を引いた数十名が引っ張って向きを変える。調子を整えるコンチキチンと、音頭を整える扇衆。掛け声と共に綱が引かれて、わずか30度ほど向きを変えるだけのイベントに拍手喝采が巻き起こる。あぁ、祇園祭のクライマックスはここだったかと納得も、次第に体が火照ってくる。ん?これはちょっと興奮するぞ?

 山車の形状もさることながら、よく観察すれば辻回しの挙動も全て異なっていて、今風に言えば独特のパフォーマンス。次は何してくれるんだろうという期待感も高まりつつ、腕を掲げたり自撮り棒で高度を確保したりして、いろいろなアングルで撮ってみた。ジブリ映画「千と千尋の神隠し」で見られた世界観を感じたが、そもそもモチーフが古来の日本であるから当然の如しであろう。この祭が千年以上も続いていることに、驚きを禁じ得ない。しかも疫病退散の祈願が由来なら、まさにうってつけのイベントなのであろう。汗かいて祈りを捧げて、仲間とふれあい美味しいものを食べる。素敵な日本の伝統を楽しませてもらった。

 昼前に全ての山車が通過したため、清水寺へ向かって歩くことに。のどかな鴨川を渡って八坂神社を掠め、五重の塔で有名な法観寺から産寧坂を登る。お店が立ち並ぶ参道は観光客も多く、趣向を凝らした佇まいに目を奪われる。清水の舞台から飛び降りる覚悟で財布の紐を開くという謳い文句だけが動機であったが、涼しくて快適な場所であった。なかなかの高所で足がすくんだが、雨が降り出したので記録撮影のみ行い、そそくさと退散。途中インスタ映えしそうな宇治抹茶ソフトクリーム¥850に捕まり、ランチ代わりに頂いた。オープンキッチン?で製造過程から楽しませてもらったが、味もほろ苦いクリームとバニラアイスが融合して非常に秀逸。良い思い出ができたと思う。

 その後雨も落ち着いたので、先輩が出展している写真展会場へ。関西トップクラスの重鎮が集うと言われるGALA de portraits KYOTOは、世界倉庫というレストランの二階。SNSで告知しないという硬派なスタンスでしたが、客足が途絶えない盛況ぶり。作品もどでかく額装もキレッキレで、とにかくずっと見ていられる。写真の良し悪しって結局は、飽きないことなのかなと思った。先輩や他の在廊者の皆様と明石屋のかるかんを食べながらおしゃべりする空間は、自分にはまだ到底及ばない世界ながら、とても満ち足りた空気を感じる。いつかこんな素晴らしい作品が作れるのだろうか?先輩の背中と作品を目に焼き付けて、京都を去る準備に。とりあえず大丸地下の551HORAIで豚まんのセットを購入し、餃子とシュウマイのディナー。京都駅でコインロッカーの荷物を受け取り、夜行バスで東京駅へ。導かれて訪れた旅で得られたかけがえのない収穫は、きっと僕の未来を彩る糧となるだろう。おまけ、館山ヘリコプターフェスティバルに続く。

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