第一師団創立・練馬駐屯地開設記念行事

土曜日は陸上自衛隊相馬原駐屯地の創立記念行事へ出かける予定だった。第12偵察戦闘大隊に所属する大量の16式機動戦闘車やUH-60JAヘリコプターの演習展示が予定されていたのだが、なんと前日に、前第12師団長ほか10名の乗ったUH-60JAが沖縄県宮古島沖で消息を絶つ事故が発生!それを受けて演習展示が中止、当該ヘリコプターもしばらくの間全機飛行停止になってしまう。片道3時間掛けて出かけるほどの魅力が無くなり、この日は久しぶりに自転車で立川まで繰り出し、わずかに残る桜の下でお花見弁当を頂いて献血と散髪と買い物のち、武蔵村山側のゲートからアメリカ空軍横田基地スプリングフェスタへ入場。散り際の桜とヨコタメシ、PACAFバンドの演奏を楽しんだ。雨に濡れながらではあったが、充実の1日となった。

 翌日は昨年に引き続き、練馬駐屯地の創設記念行事へ。池袋経由なので若干遠回りであったが、やはり1時間ほどで行ける基地は利便性が高い。前日の疲労も残りやや遅めの07:30出発だったが、ほぼ待つこともなく9時半には入場できた。今年は抽選による入場制限が撤廃されたが、より多くの観客が楽しめるように一般客向けの雛壇観覧席が作ってあった。出遅れのため雛壇には入れず、敷地手前のロープ際、昨年とほぼ同じ場所を確保したのだが、ここならどんな感じで入退場するか予測できるためむしろツイている。まずは除染車による散水を経て、第一師団所属の普通科隊員が入場。続いて観閲官を務める兒玉第一師団長と小池百合子東京都知事が入場する。このペアは昨年も同じだったが、兒玉師団長は元第一空挺団長で、小池都知事は元防衛大臣かつ練馬区民だそう。スゴイ方々に率いられている部隊である。

 さて観閲に先立ち突如、ゲリラによる妨害事案が発生!最先任曹長の乗った偵察オートバイが斥候で飛び出し、副師団長が指揮通信車でマシンガンを撃ちながら突入する演出。昨年は師団長自らヘリコプターからラペリング降下したのを見ているので、それに比べると二番煎じ感は否めないが、この辺りが練馬の魅力である。国旗掲揚に続き師団長の訓辞が寄せられたが、「親しい友人3名が行方不明になってしまった」と、絞り出すような口調で語り始めた。式典を取り止めるか悩んだが、もし彼らが戻って来られたときに「なぜコレくらいのことで中止にしたんだ?」と怒られるだろうと思ったから、しっかりと自分たちの活動を予定通り伝える事にされたのだそう。そして途中で壇上から隊員の列の先頭に降臨し、私たち日本国民に対してさらに続ける。国を守るということは自分の家族を守るという事。それを覚えておいて欲しいという熱い訓辞に、背筋が引き締まるほどの感動を覚えた。続いて小池都知事が挨拶し、指揮通信車に座乗して部隊観閲を行う。コレはもうただ事ではない世相を反映している。有事は近いのかもしれない。

 その後行われた部隊紹介では再びゲリラが潜入し、化学防護隊や施設隊など数々の部隊が迎え撃つ。訓練展示はないという触れ込みにも関わらずガッツリとドンパチやってくれるのも昨年通りだが、とにかくこの兒玉師団長という方がとても魅力的で、サービス精神が旺盛らしい。難しい話はこのくらいにして、今日はたっぷり楽しんでくださいという意志を感じた。強いお方である。ヘリコプターの飛行は中止かと思いきやドアガンでエアカバーを受けつつラペリング降下。16式機動戦闘車も突入し2発の空砲!23区内で大砲ぶっ放すだけでもやり過ぎ感有り余る演出であった。さらに徒手格闘(CQC)の実演が会場のあちこちで繰り広げられ、柔道の乱取りのような激しい攻防。負傷兵をメディックが応急処置して退避させる様子も臨場感が得られた。

 地上展示もただ鎮座するだけでなく、FH70や偵察警戒車などの操作実演、体験ツアーなども行われ、陸自総本山に相応しい圧倒的な展示内容。第一音楽隊の演奏も豪華だったが、最後はロシアに壊滅させられたウクライナ国ハルキウ州出身のナザレンコ・アンドリーさんが登壇し、突然全てを奪われてしまった戦争のリアリティを訴えかける。理不尽という状況が確かに存在し、その中で何を重視して行動していく事の大切さを学んだ。昨年同様厚生棟の食堂で、まさかの昨年と同じメニューだったチキン照り焼き定食を頂いて撤収。熱い1日であった。