Twitterで知った、河口湖の自動車博物館。原田信雄さんという自動車業界で活躍された方が個人(!)で収集された車や飛行機が、毎年8月限定で一般公開されているらしい。記事を読むかぎり、アニメ「荒野のコトブキ飛行隊」で活躍した陸軍一式戦闘機「隼」や、BAKA BOMBとして恐れられた肉弾兵器「桜花」と、母機の一式陸上攻撃機など国宝級の史料が満載とのこと。スケジュールを確認すると動けそうな日が代休の8月16日のみだったため、荒天にも関わらず中央道を西へ車を走らせました。
2月に黒岳登山で河口湖を訪れた際は、日本一の富士山眺望とうたわれた新道峠展望台が工事中。夏頃オープンとの事だったので先に立ち寄ってみると、「FUJIYAMAツインテラス」という豪勢なネーミングで7月31日に完成しておりましたが、混雑解消を目的とした一般車両進入不可に加え、1時間に一本走る無料シャトルバスもコロナまん延防止による運休との事であえなく撤退。いずれにせよ霧で富士山の眺望は皆無だったので、秋晴れの頃にまたトライしたいと思います。
河口湖インターから富士の裾野をめぐる緑に囲まれた道路を進むこと10分、頑丈なゲートを備えた河口湖自動車博物館・飛行館へ12時半に到着しました。小雨の中、近隣の県外ナンバーで駐車場は半分ほど埋まっており、記事で知った方が集まっている模様。入口で消毒と検温、入場料¥1500を払って、巨大なプレハブ倉庫へ。オイルや埃などが混ざった格納庫特有の匂いで期待が高まりましたが、なぜ8月のみ公開かと言いますと、残り11ヶ月は復元作業に費やすため。しかも昨年はコロナ禍で公開を見送ったため、今年は開館20周年記念で2年ぶりの公開なのだそう。従って毎年展示精度が高まり、ファンには待ち遠しい公開であったと思われますが、今年の目玉は昨年完成した隼2型で、吊り下げ展示の1型と共に隼が見られるのはここだけ。息子の名前にも選んだ未塗装でジュラルミン剥き出しの隼は、美しいの一言でした。
他にも零戦21型や52型、93式中間練習機(赤トンボ)など馴染み深いものから、復元中の艦上偵察機彩雲、ライト兄弟が飛ばしたライトフライヤーまで、空間をフルに活用した圧巻の展示内容でした。知覧特攻平和会館のように遺品めいたものは少なめでしたが、戦時の文化や風俗も学べ、何より桜花を設計した東大卒の三木忠直氏は、命令と意思との狭間で悩みつつも、戦後0系新幹線を設計したと知り感動しました。原子力といい、戦争への注力が文明開花を促すのは皮肉以外の何物でもありませんね。そして一番驚いたのが、現在も完動する零戦のエンジン!騒音に配慮して普段は火を入れないそうですが、滴ったオイルが現役バリバリの血液を表していました。まさに技術遺産の博物館です。変わり種としてはF-104スターファイターから取り出した、F-4ファントムと同じJ79ジェットエンジンが無造作に転がっていたり、外にはF–86ブルーインパルスが鎮座するなど、現代機ファンも楽しめると思います。
ちなみに偶然にも同じタイミングで訪れていたTwitterのフォロワーさんから自動車館も勧められたので、更に¥1000課金して本館へ。馬車にエンジンを付けただけのような自動車の開祖からフェラーリF50まで、これまた自動車の歴史を全網羅したような豪華ラインナップ!名古屋で訪れたトヨタ博物館に匹敵します。撮影はスマートフォンのみ許可されましたが、画質はともかく画角や撮影位置に制限を感じたので、いろんな角度や立ち位置を試しましたが、憧れのカウンタックなどどうにもカッコよく撮れず、もどかしい思いも。こちら自動車館はオープン40周年との事で、飛行館20周年と同じキーホルダー(¥500)を頂きました。日本では軍事博物館は国の資本で作れない法律があるそうですが、個人でこれほどの収集と維持を手がけるのは、崇高な目的意識のなせる技でしょう。日本の技術力や精神力が世界に通用したことを誇りに思い、原田さんの思いを紹介できれば幸いです。
帰り際に、前回頂いた小作と双璧を成すほうとう不動さんで¥1100の不動ほうとうを頂きましたが、かなりあっさり目のスープで、大量のカボチャで甘めだった小作の方が舌に合う気がしました。具材も小さめで期待外れでしたが、麺の量はすごく、モチモチ具合はこちらに分があるかも。辛めのスープが楽しめるお店もあるそうで、河口湖はほうとう目当てに月イチくらいで遊びに来たいですね〜。河口湖自動車・飛行博物館は八月のみ営業、県や国の要請で早期閉館の可能性もあります。興味あられる方はお早めにどうぞ。