霧の中を賑やかな鳥のさえずりに囲まれながら歩みを進めると、高度が下がるに連れて霧が晴れ、眺望が良いと言われているブナ坂でついに「頭を雲の上に出し〜」とばかりに、美しい富士山が姿を現しました!キリッと冷えた空気の中に静かに佇む富士山はまるで水墨画の世界のようで、とりあえず写真を撮りまくり、思わず出そうな歓声を我慢するのに必死。今日は悪天候のはずでしたが、やはり晴れ男は持ってます。ツツジや野草の原色も映えて、マクロモードでの接写を楽しみながら、登りの倍ほどの軽やかさで歩けました。
とはいえ下山時が圧倒的に事故率が高いと言われるように、徐々に足裏や股関節など、これまでの疲労が蓄積したパーツから悲鳴を上げ始めます。トレッキングポールに加重して重力を分散させつつ、休憩も織り交ぜながら凌ぎましたが、足底筋膜炎(土踏まずの痛み)が、ふくらはぎの下の内側にあるツボ押し(その名も承山!)で劇的に回復したのでおすすめ。ザック滑落場所ではかなり時間と体力に余裕があったので、傘や買い物バッグ、水筒など探しに行こうか迷いましたが、今日は無事帰り着くことが目標なので潔く諦めました。都内在住者で水道水がちょっとだけアクエリ臭いと感じた時は、おそらく僕がぶちまけたせいでしょうorz
最後のハプニングは、若い牝鹿との遭遇。左肩にふっと気配を感じて振り向きざまにチラ見すると、5m先で大きな牝鹿が食事中でした。まさか人間にこんなに近づくとはと驚きましたが、目が合っちゃうと距離を取られてしまうので、そのまま10mほどやりすごし、滑落しそうもない平らな場所(ここ重要)にザックを置いて、息を殺してカメラを取り出しました。15分ほど撮影を楽しんだあと、彼女はふっと森の奥に消えてしまいましたが、駆除対象の害獣とはいえ、つぶらな瞳は癒やし以外の何物でもありません。
もう1時間くらいで下山できそうでしたが、道端に水場を発見したので、ちょうど出発から4時間ほど経過したこともあり山小屋で購入した弁当(¥1000)を頂くことに。キンキンに冷えた湧水との相性は抜群で、最後の力を蓄えます。ハイドレーションも満杯に給水し、眼下に近づくアスファルト道路を見据えながら着実に歩みを進め、正午前に下山完了しました。満杯だった駐車場は閑散となり、例によって最後発の退去となりましたが、今回も怪我をしなかった事が何よりの収穫でした。二日間にわたる往復25km、標高差1500m、14時間もの山歩き。あこがれの北アルプスに、少しは近づけたのでしょうかね。。