ヴェルニー公園の夕焼けは素晴らしく、海面の照り返しとの相乗効果で、時間の経過と共に巨大なかがの体躯が金色に染まっていきます。かなり早く合流の手筈を整えて下さった友人はなかなか現れず、なんでもカメラを忘れて引き返したそうですが、歳取ると勢いだけ空回りするのは日常茶飯事ですね。夕方5時にようやくJR横須賀駅前のヴェルニー記念館で合流し、挨拶もそこそこに早速「一国坂」と呼ばれる階段を歩き始めます。私が車で徘徊しても見つけられなかったのもそのはず、徒歩でないと行けない場所でした。
国道から狭い路地へ折れるとトンネルの上につづら折りの急な階段が現れ、転ばないよう気を付けながら登坂開始。息を切らしつつ友人の近況をお伺いしたところ、年初に私が鹿児島から東京へ華麗なる移動を始めた頃に生死を彷徨う大怪我に見舞われ、最近ようやく復帰したとのこと!詳細な状況を伺いましたが、文字で表現できないほどの凄惨さに絶句。イメージだけで目眩がしそうでしたが、よくぞご無事で!と復帰を労いました。先日仕事のスケジューリングで九州の仲間たちと久しぶりに連絡をとりましたが、皆さん色々あって、withコロナの荒波に揉まれていらっしゃる模様。便りがないのは良い便りとは、必ずしも言えないようですね。
住宅地の細い路地を抜けた先の展望所では、フェンス越しに線路や高速道路、そして巨大なかがの甲板が俯瞰できました。ここがまさに横須賀を象徴する(よく見る)撮影スポットに間違いありません。しかも目の前にぼなりぃさんという小さな喫茶店兼ドッグランがあり、給水スポットも完備!おすすめが知覧茶で、しかもレアな知覧茶の紅茶がお好きだそうで、思わぬ鹿児島ネタにもニンマリ。ここは夜景をがっつり撮るぞと決意したものの、かがだけでなく大量のかが(蚊が)剥き出しの足を刺しまくったため、車と三脚を取りに戻りがてら虫除けスプレーを購入することに。
15分ほど歩いて汐入駅イオンのマツキヨで麦茶とスプレーを購入し、三笠公園で車を回収して、今度は吉倉桟橋というイージス艦が係留されている桟橋を真後ろから俯瞰できる隠れスポットへ。こちらも道路を歩いて横切るとトンネル脇に急な直登階段が出現したので、息を切らして登り始めます。途中いい具合に沖のいずもと絡められるスポットが出現し、何も150-450mmを携行する必要はなかったかもしれませんが、大いに役立ちました。高速道の側道沿いの藪に囲まれた、泥でズルズル滑る獣道を左手に抜けると、そこが噂の絶景スポット!いやーこれは秘境だと感激しましたが、キッチリGoogleマップに載っているあたりは流石ですね。路駐できなくもないですが、切り返しできない狭い路地なので居住者に迷惑が掛かる可能性が高く、お勧めできません。
また外来船舶の寄港時など警備レベルが上がり、レーザーセンサーが敷設されるらしいのでこの場合も侵入禁止。それほどまでに秘匿性が高い場所ながら、地元カメラマンには定番スポットとあって数名のお仲間に遭遇、係留艦艇による夕方の一斉隊旗降納は情緒たっぷりで、良いものを見せて頂きました。再びヴェルニー公園へ戻り、夕焼けの残照と船舶を撮っていると、数キロ先で花火が上がり始めます。地元の友人も知らなかったそうですが、横須賀市の花火大会が時短で開催されたそうで、三脚を抱えたまま駆け足で移動し、辛うじて潜水艦と絡めることができました。考えも及ばないサプライズイベントに、テンションが上がります。
勢いで再び一国坂に登り、かがの俯瞰を撮っていると、今度は横浜方面で稲妻が光り始めました。時にはっきり視認できるほどの稲光で、これもなんとか艦船と絡めるべく奮闘したところ、2〜3秒間掛けて地面に刺さった落雷がしっかり撮影できました。画像を見たら山の斜面に火柱と煙が見えて、民家であれば大惨事!地震の次に恐れられる雷の威力は伊達ではありません。最後に船越地区という掃海艇など特殊任務用の観戦が停泊している港へ移動しましたが、タグボートや用途廃棄済の船など現場感が抜きん出ていて、大変趣深い。東芝の古い工場や線路跡など、横須賀には昭和の遺物がたっぷり残っているそうです。最後にこの場所を体験して(裏)YOKOSUKA軍港めぐりのフィナーレを迎えましたが、その充実感たるや、前日予行から参戦する航空祭に匹敵するほどでした。翌朝早いにも関わらず病み上がりの身体を押して、夜10時まで案内して下さったYさんには心から御礼を申し上げます。ぜひまた違う角度から、横須賀の街を体験したいものですね。