鹿児島県薩摩川内市の藺牟田池でオートキャンプしている様子を知人のSNSで知り、調べてみました。特にオートキャンプを売りにしている訳ではなさそうですが、規制が緩めで、キャンプファイヤーができそうな湖畔の広場まで車の乗り入れが可能。そのままオートキャンプができるとの事ですが場所取りは先着順で、使用料はテント持ち込みなら一人¥200!冗談のようなコスパですがさぞかし人気も高いのだろうと思い、息子のスイミングスクール終わりを拾って、そのまま現地へ向かいました。
車で1時間ほど走って昼1時に到着すると、やはり人気スポットらしい湖畔と炊事場近くの奥の木陰は埋まっていました。ただ前泊者の撤収は遅くデイキャンパーもいらっしゃるようなので、場所取りは運次第かも。私達は一つだけ空いていた入り口右手の木陰に陣取り、冷蔵庫に残っていたおにぎりや弁当の残りで、椅子とテーブルだけセッティングして昼食タイム。木陰でも汗がにじむほどには暑かったですが、ソーラーパネルからの給電でUSB扇風機を動かして暑気をしのぎました。
ひと心地着いたら、まずは荷物の置き場所となるタープ型テントを組み立て。買ってから数年ほっといて初めての開梱でしたが、ポール三本で吊るだけなので数分で設置完了。車から道具を下ろしてテントに収納後、寝床となる四人用テントの設営にかかりましたが、こちらは学生時代に購入した26年モノの逸品で、前回の使用は15年前くらいだったため、縫い目を防水する止水テープが剥がれたり全体的にカビ臭いなど痛みが目立ちます。テープ剥がしやカビ取りは子供達に任せて、椅子やテーブル、コンロを組み立て。晩飯の準備まで終わらせた午後3時に、車で五分のアクアイムという水族館に移動しました。
アクア(水)+藺牟田池のイム、aim(目的)というなんとも洒落たお名前の施設ですが、薄暗い室内には藺牟田池の代表的な生物がずらりと飼育されていて、¥260という入館料以上の面白さ。ドクターフィッシュ体験やザリガニ釣り、足漕ぎボートのアトラクションもあって子供でも楽しめます。何よりラムサール条約に批准された、天然記念物である泥炭地植生の解説が興味深く、観察の意欲をそそられました。
アクアイムでは釣具を借りることができ、外来魚であるブルーギルやブラックバスの回収箱もありましたが、アクアイムの先には売店が二ヶ所あって、貸しボートやレンタサイクル、白鳥の餌などを提供。妻は木陰で休みたいそうなので、息子と娘を連れて30分¥400の自転車を借り、一周3kmのツール・ド・イムタへ出発しました。先日自転車に乗れるようになったばかりの息子には厳しめのロングツーリングでしたが、娘に最後尾から監視させて、写真を撮ったり休憩取ったりしつつも、なんとか制限時間内にゴール。車道や起伏を避けた専用のコースが大変走りやすかったです。
今回持参した飲料は、お茶3Lとアクエリアス2L。別途調理用に水2L持ち込みましたが、特に子供達の消費量が早く飲料水が全然足りない事に気づいたため、サイクリング後に15分ほど車を走らせて入来町まで買い出し。コンビニでお茶2Lとロックアイス、隣の物産館でナス、椎茸、冷凍金柑を調達しました。ついでに無料の冷茶をがぶ飲みし、¥360の金柑ソフトクリームを実食しましたが、ご当地名産とあっていずれも絶品!冷凍金柑は夕飯後に頂きましたが、一度茹でたものを冷凍してあったので皮のえぐみもなく、大変食べやすかったです。
まだ5時半でしたが、テントサイトに戻って夕飯の準備に取り掛かりました。新規調達した一人用バーベキューコンロはコンパクトでよかったのですが、炭を焚く場所が小さすぎて、LOGOSの成型燃料を無理やりセット。カセットガスバーナーで数秒で着火できましたが、火持ちは1時間ほどだったので、調理はともかく焚き火には向かない。それでもお高い黒毛和牛は炭火で頂きたかったので満足できました。ガスコンロではニトリで調達した取手が外せるフライパンに、オリーブオイル、アヒージョの素、冷凍シーフードに鮭の切り身をダイブさせて、網で焼いたバゲットをディップさせたカナッペが人気。鶏せせりを醤油、酒、マヨネーズ、ニンニクに漬け込んで持参した焼き鳥も好評でした。私は一応夜は炭水化物禁止なので野菜サラダと頂きましたが、結局お肉は1/3しか消費できませんでした。
焼肉奉行に集中しすぎて夕焼けに浸る余裕もありませんでしたが、すっかり日が落ちた夜8時、疲れを癒すべく車で10分の藺牟田温泉下ノ湯へ。これまた¥150源泉掛け流しという圧倒的コスパを誇る温泉は地元の常連さんでそこそこ賑わっており、川のせせらぎを眺めつつ、疲れが取れそうな42度のお湯に浸りました。気持ちが良くなって滅多に飲まないカルピスソーダ500ccを一気飲みしちゃいましたが、ひんやりしてきた夜風とのセッションがまた、心身を癒してくれます。
テントに着いたら手持ち花火に興じるグループを見つけたので、こちらも戦闘開始。ろうそくに火を灯して勝手にやってもらいましたが、やはり線香花火が情緒豊かですね。チリチリと自分だけの世界で弾ける火花。燃え尽きて落ちる儚さすら、新たな始まりを誘う潔さに感じられます。大きな月がテントサイトを照らし、星座を数える面白さ。蚊取り線香や紫外線虫取り器が効いているのか、そんなに蚊にも刺されず、コットに仰向けになると、鈴虫の大合唱に包まれます。このまま寝入ってもよかったかもしれませんが、夜露や冷え込みが予想されたので、テントで州の字?みたいに就寝。モバイルファンを総動員させたおかげで、寝苦しさも皆無でした。
朝5時に目が覚め、小さなGR3だけを持って散歩に出かけます。対岸の山が明るくなってきたので、日の出とのコラボレーションを狙おうと時計回りに湖畔を歩いていたら、良さそうな場所に三脚を据えたカメラマンに出会いました。薩摩川内市でSONYユーザーなら川内アルファクラブの重鎮さんかなぁと思いつつ、いろいろカメラ談義に花を咲かせます。もちろん人見知りではありますが、同じ趣味なら興味の方が先に立つので、旧知の仲かのようにいろいろ聞いてしまった結果、何でもこの位置はダイヤモンド藺牟田富士(飯盛山)のポイントだそうで、ちくちくウニウニ光源が大好物の私としてはすっかり色めき立ってしまいました。一眼レフを取りに戻ろうかと思いましたが、それで撮り逃すのはシャクなのでそのまま設定を追い込みます。稜線から漏れる光は我々を左右から包み始め、点として浮かんだ光は急速にフレアを拡大し、カメラマンを煽り始めました。いや、もう当然のように絶景ですし、至福とはこの事を指すのでしょう。おじさん二人は少年のように夢中で、シャッターボタンを連打したのです。
早起きで三文以上の徳にありついた私は笑顔でカメラマンに別れを告げ、起きてきた家族と会議を始めました。現状としては相変わらず飲料水が心許ないのと、肉が余り過ぎていて鮮度が怪しい。朝の強い日差しで体力的にもしんどくなってきたので、大事を取って朝食後に撤収することになりました。そうと決まればさっそく大テントから寝袋やマットを搬出して、解体後に天日干し。ある程度片付いたら炭火で例のソーセージと味付きロールを焼いてホットドッグにかぶりつき。昨夜やり損ねた憧れのスモア(焼いたマシュマロをビスケットやクラッカーで挟んで食べるアメリカのキャンプファイアー定番おやつ)は、姶良のスポーツオーソリティで見つけたマシュマロ専用伸縮フォークが大活躍しまして、子供たちを賛美の渦に巻き込みました。じゅわっととろけるマシュマロはほぼほぼ生クリーム味ですが口当たりは軽く、クラッカーの塩気がプラスして無限食欲を駆り立てます。キンキンに冷えた濃い目のアイスコーヒーが相性抜群で、撤収の気力をチャージしてくれました。
続いて小テント解体と家具の梱包。車の影で猛暑をしのぎつつ、余裕の10時撤収、11時帰宅となりました。やり残したメスティンでの炊飯は、米浸水30分、固形燃料25g燃え尽きるまで、蒸らし15分を守りましたが、若干固めながらお焦げの旨さは絶品!エアコンの効いた部屋で快適な焼肉の続きを堪能し、頑張った自分には黒毛和牛サーロインステーキのご褒美!明日から頑張ろうという気持ちにもなるものです。子供達にとっては初めての家族キャンプ体験でしたが、ゲーム機やiPodから離れて自然と向き合い、充実した時間であったように思えます。世の中うまくいかない事の方が多いので、トラブルも込みでコントロールする楽しみを覚えてもらえたら幸いです。
■オススメ道具■
- LOGOS-16°C保冷剤(ロゴスショップで売り切れなのにトライアル過剰在庫笑)
- 蚊取りLEDランタン(姶良のスポーツオーソリティで展示品をゲット。虫がめっちゃ取れます)
- ソーラーパネル(日中のみ電源やモバイルバッテリーの充電に活躍)
- 開閉ストッパー付きトング(開いたまま置くと場所を取ります)
■成功例■
- 焼肉のプラトレーを外してラップで持ち込み(かさばらない、ゴミ削減)
- 45Lゴミ袋、ウェットティッシュ、キッチンペーパー必須
- ジップロックで下味を漬ける
■失敗例■
- 道具の整理(色分けしないといちいち道具や材料を探す羽目に)
- テーブルが小さい(大きめのテーブルが一台あると助かった)
- 下ごしらえ(極力刃物を使わなくて済むよう全てカットすべきでした)
- 水タンク(調達を迷いましたが、手洗いや食材・食器を洗うのに必須)
- 買ってきた炭がミニコンロに入らず固形燃料のみ使用