- 活動日:2020/9/21
- 参加者:Joji Ikeda,Kazuto Goto
- 目 的:スラブ撮影、ロッククライミング体験
アラハンコンパ第6弾は、宮崎県延岡市の鉾岳。鹿川(ししがわ)渓谷の最上流に位置し、五ヶ瀬川に注ぐ綱の瀬川源流の一つ。鹿児島の自宅から実に250kmも離れており、以前から山リーダーに誘われていたものの、日帰りでの登山は難しいだろうなと諦めていました。
秋のシルバーウィークに当たる連休は、有給休暇を取った9/18の0:30に自宅を出て、水俣IC経由宮原SAで仮眠後、福岡で買い物と写真展鑑賞。9/19はポートレート個撮で野河内渓谷と糸島を徘徊し、ポートレート準備室での作品講評と飲み会を経て道の駅うきはで車中泊。9/20は日田のオートポリスでバイクレースを撮るつもりが、チケットがカード決済できず阿蘇観光へ。夜は道の駅青雲橋で車中泊した結果、朝6時に山奥の鹿川キャンプ場までたどり着く事ができました。こんな細い道の奥に集落があるのが驚きでしたが、設備の整った別世界のような環境で、美しい風景に癒されます。
1時間しか寝ていないというリーダーと合流し、最終のパッキングへ。今回は調理器具の携行をチタンカップのみに留め軽量化を意識しました。山奥にも関わらず数十組ものキャンパーが色とりどりのテントを張っていましたが、ここ数日の冷え込みは尋常でなくTシャツ短パン姿で出てきた事を後悔。福岡のドンキホーテでブランケットを、南阿蘇のモンベルでフリースジャケットを買い増したので、最低で10度以下だった車中泊も何とかクリア。山頂も13度の予報でしたが、好天を見越してレインジャケットのみ携行したものの、結局使う事はありませんでした。
しばらくは緩やかな林道でしたが、渓谷を臨む登山道に差し掛かると勾配がきつくなり、前方だけでなく左右にも傾斜があるため、直登かトラバース(斜行)だかよく分からない道が増えてきました。前回の石炭山に迫る厳しいルートになりましたが、ストック二本使いで体力と下半身の筋力を温存し、ロープや梯子が増えてきたあたりでストックを収納して三点支持へ移行。重心バランスに気を配りつつ、2時間ほどで鉾岳スラブの取り付きへ到着します。
スラブとは一枚岩の事ですが、鉾岳スラブは日本一の大きさらしく、ロッククライマーの聖地とか。この日も我々の先を行くパーティーが専用の装備を携え、そそり立つ絶壁をサクサク登っていきました。リーダーが「アルパインですね!」と声を掛けると、「ナイパインだけどアルパインよ!」と我々の母親ほどの年齢の大先輩からツッコミづらい返しを頂き感無量!せっかくなので我々も5mほどクライミング体験をしてみましたが、これは面白い!安全装備さえしっかりしていれば、もう少し登れたかも。
取り付きから登山道へ復帰しましたが、その後も急な登りが続き、渓谷を何度か横断します。花崗岩を切り刻む流しそうめんのような清流や滝は透明度が高く、見ていて撮っていて飽きません。ドローンを飛ばしたり、巨大な割れ目のパックン岩でティータイムしたりと、休憩と遊びを兼ねた緩やかな時間を過ごします。累積で3時間ほど遊んだ挙句、例によってタイムリミットが迫りました。加えて膝上の筋肉が悲鳴を上げ始め、傾きかけた太陽を睨みつつ、最悪引き返す事も念頭に置きつつ歩みを進めます。
一応三時までに登頂できなければUターンと決めて、最後の力を振り絞りました。決め手はやはり水分補給と食事で、今回はパックン岩でレモネードとランチパック、頂上でおにぎり1個、下山中にカロリーメイトチョコ味など、行動食を絶やさないよう気を付けました。水は1Lとスポーツドリンク1Lしか消費しませんでしたが、沢がある行程であれば、思い切って携行水を減らすのも一考かもしれません。
さて、目標は鉾岳を構成する二つの頂である雌鉾(メンポコ)と雄鉾(オンポコ)の登頂でしたが、時間がないので雌鉾に絞り、スラブの頂点を目指します。最終的には梯子やロープをたどって無理やり体を持ち上げ、ようやく最後の大岩へ。梯子を終えて最後のロープに手を掛けた途端、うっかり「下」を見てしまいました。とたん猛烈な目眩と吐き気が遅い、冷や汗がどっと出て来たので、慌てて梯子の下まで撤退。しばらく動悸が治まらず、これはもう体力的にも精神的にもしんどいなと思って、登頂を残りわずか5mに控えての勇気ある?撤退を決意。せめて空撮は行おうと、吹き上げる突風に怯えながら最低限のコントロールでドローンを操縦しました。これまでの道のりを考えると絶対に日没までの帰還は無理だなと思いましたが、ともあれ写真と動画は傑作を撮れたので、これはもう必死でデータを持ち帰らねばなりません。目的を登頂から無事帰還にシフトして、来た道を戻り始めます。
私の膝の痛みは屈伸で治まったのですが、リーダーの炎症は治まらず、足をかばいつつ休憩を挟みながら少しずつ進みます。福岡で長時間歩き回ったトレーニングが地味に助けになったのかもしれませんが、定期登山も1年間続けて、体幹は少しづつ出来上がって来たのかも。細かい事を言えば股擦れと足首の擦れが若干気にはなりましたが、ようやく日没前の18時に、無事故で帰り着きました。遊び過ぎた感はありましたが、あれだけの景色を見せられると写欲の方が勝ってしまい、行程がおろそかになる癖はなんとかしないといけませんね。帰りは東九州道川南PAで6時間、姶良のローソンで2時間仮眠し、翌朝の7時半に帰宅。連休中一度もメールの返事を返してくれなかった妻を姶良のMILANジャムナ(一番好きなカレー店)に連れて行き、息子とは温泉へ。しばらくは連休中放置された家族のケアに気を揉みそうです。