必要火急の旅へ(その1)

政府より不要不急の県外移動自粛を要請されている緊急事態宣言期間中ですが、今回思い浮かんだ岐阜訪問が必要火急に該当するのか(言い訳を)考えつつ、2月2日の21時にこっそりと自宅を出発。中央道八王子ICから高速道路で神奈川、山梨、長野、愛知を通過し、仮眠を経て朝06:30に、岐阜県各務原市の三井山公園に到着したのであります。

 距離は360kmくらいで、感覚としては鹿児島から九州脱出くらいを想定。走りっぱなしで4時間と考えるとなかなかしんどいなと思いましたが、さすがは首都の道路らしくフラットかつカーブも少なくて、走るのはかなり楽でした。トンネルが多いですが、甲府あたりでトンネルを抜けた際、道路の両側に大都会の夜景が広がって思わず「ふお~っ!」と声が出てしまいます。途中休憩は長野の諏訪湖、阿智(朝食調達)、岐阜の内津峠(仮眠と朝食)の3箇所。特に諏訪湖は近くにフィギュア製造の会社があるためかコレクションフィギュアが大量に販売されていて、せっかくなので今回の目的地にちなんだアニメ「ゆるキャン△」より、各務原なでしこ長野限定フィギュアを購入。深夜2時のテンションなので、痛仕方ありませんな。

 ところで2月3日と4日は休日出勤の振替代休で、今後は当面、平日の連休は見込めません。昨年末に宮崎の新田原基地へ、茨城の百里基地から301飛行隊のF-4EJ改特別塗装機が二機訪れましたが、都城まで車を飛ばしたものの離陸に間に合わず、泣く泣くUターン。残ったファントムは岐阜基地所属の4機のみで、いずれも今年度中に退役が決定しているため、平日にしか飛ばないファントムを撮れるのは最後のチャンス!まぁそのような事情で、何としても最後の平日連休には岐阜へ行かねばならんのだ!的は本能、地にあり!?(超屁理屈でスマン)

 と言うわけで私にとっては十分な動機があったので、1stフライトに間に合うよう勤務からの仮眠二時間で駆け付けた訳ですが、結局この日は、ファントムが飛ばなかった!!まぁ今後使う見込みのない機材の訓練を積極的に行うわけもなく、前日の夜間訓練で飛んだ影響もあってか、昼を回ってもエプロン(駐機場)にすら姿を現さず。T-7、T-4、F-15、F-2などバラエティ豊かに釣れましたが、今日に限っては外道と言わざるを得ず、ダラダラ待ってもファントムが現れる確率は低いと判断して、13:30に次の目的地へと移動を開始したのであります。

 岐阜のもう一つの目的は、多くの写真家が憧れる世界遺産の白川郷。東京で撮りたい写真の一つに雪景色があり、せっかく会社の経費でスタッドレスタイヤを履いているので雪道を走り慣れておきたいという願望もありましたが、時折り粉雪がパラつくものの積もるほどではなく、道路は綺麗に除雪されていたため、結局アイスバーンすら走る事は叶わず。もちろん危険を回避できたことは喜ばしく、チェーン規制や怖さを感じた時点で引き返す覚悟でしたが、トンネルだらけの北陸道を二時間走って16時に、特に問題なく白川郷の市営駐車場に到着してしまいました。

 来られると思っていなかったのでろくろく調べずに来てしまいましたが、なんと役場運営なので17時に駐車場を閉めると聞き全身が硬直!それならばと最低限の機材を持って、小走りで雪の白川郷を調査開始。住民の皆さんは雪かきの真っ最中で、田んぼの水路に雪を落とすとシャーベット状になって流れていくのが物珍しく見ていて飽きない。普段であれば大量の外国人観光客で賑わうはずが、鎖国かつ移動制限中の白川郷は見事に閑古鳥で、観光客はもちろん人に出会うのが珍しいほど。お店も完全休業状態なので、目に止まった光景を片っ端からスナップしつつ、集落内を一通り散策。除雪が終わっていない箇所は1m以上の雪山が残っていたので、足を踏み入れて雪の感触を楽しむ事ができましたが、除雪してもおそらくまた積もるであろうことを考えると、これは厳しいなぁと思います。

 制限時間ギリギリで慌ただしく駐車場を退出し、白川郷で一番有名な撮影ポイントである城山展望所へ。集落をぐるりと迂回して登った小高い丘の上に駐車場があり数名のカメラマンが待機中でしたが、適当な場所へ三脚を据えて日没を待ちます。見慣れた構図で広角で一枚撮れたら満足してしまったのですが、おそらくは二度と来られないであろうと推測し、せっかくなので手持ちのレンズを総動員してみると、まさかの85mmが一番映えて、300mmでもいい感じ。小学生の時に購読していた学研の学習雑誌の付録で白川郷合掌造りの模型を組み立てた思い出が、鮮やかに甦ります。思い出をしっかり刻んで、すっかり日の暮れた18:30に再び各務原を目指して、車を走らせました。(その2へ続く)