横須賀地方隊艦艇見学に潜入

昨年の国際観艦式フリートウィークは友人の献身的な試みで、出航中の外国艦船を浦賀水道からチャーター船で待ち構えて片っ端から捕獲し大きな成果を得られた。彼が次なる試みで横須賀地方隊が主催する艦艇の貸し切り見学会へ応募を続けて下さったのだが、ハズレに外れた半年後にようやく当選!団体枠を勝ち取れる10名以上の参加者を集めるのにも苦労したと思われるが、おかげで当日は生粋の横須賀艦艇マニアが再び集結したのである。参加に先駆けて当日は車で朝早く現地入りし、まずは安針台公園より、タヒチから17年ぶりに寄港中のフランス海軍フリゲート「プレリアル」を撮影し、京急田浦駅前のコインパーキングに駐車して、集合場所の海上自衛隊船越基地近くを散策。タグボートや掃海艇などを撮影して回ったが、この辺りは東芝などの工場が立ち並び廃線跡や古い港湾施設なども観察できるとても楽しい時間であった。

 集まったおよそ30名ほどのメンバーを点呼し、広報担当の先導で自衛艦隊司令部のある船越基地に潜入。なかなか一般公開されないJapanNavyの総本山に入れるだけでもワクワクが止まらないが、今日見学できる艦艇がDD-152やまぎりと聞いて更にテンションが上がった。やまぎりと私はご縁が深く、これまで3回以上は搭乗している。以前鹿児島に寄港した時には当時珍しい女性艦長の小野一等海佐にサインを頂いた。艦齢30年を過ぎてそろそろ引退が噂されるが、かつての軍艦のシルエットを残す艦橋を最後に拝む事ができそうである。

 タラップに到着し注意事項のレクチャーを受けて、最専任伍長(実務で一番経験がある偉い人)の案内で搭乗。各種装備を紹介して頂いたのだが、おそらくメンバーの中でそれらの説明を知らない方はほとんど居らず、本職が答えを渋るほど防秘スレスレの質問を浴びせ続け、なかなか先へ進めない。ただこれほど熱の入った見学者も珍しく、自衛官の皆様も楽しげにできる限り詳しく説明して下さった。詳細に掲載すると防秘に触れるため割愛するが、少年の心を持つおじさんとしては、ランチャーが甲板下に埋設されたVLSよりも、艦橋構造物として残されているアスロックやミサイルランチャーの方がワクワクする。もちろん外部に晒されているため最新艦よりも攻撃には弱いかもしれないが、これはいわゆる浪漫なのだから。

 撮影方法としては敢えて殿(しんがり)を務め、皆さんが次のスポットへ移動し終わったタイミングで無人状態を作って撮影した。一般公開では考えられない貸し切り撮影で大きな収穫を得られたが、以前と異なり艦橋内は撮影禁止。でもおそらく以前撮ったデータが残っているだろう。最後にヘリコプター格納庫を見学した際には艦長の出迎えを賜り歓迎された。任務においては危険に晒されてストレスが溜まる事が多いそうだが、今回出会った海の男たちは総じてジェントルメンで爽やかだった。何も起こらないに越した事はないが、武器や兵器は使われる事なく役目を終える事が最高の幕切れ。とは言えいざという時に最大の稼働率で運用できるよう、訓練なさっているはず。日本を守ってくださる事に心から御礼を申し上げたい。

 予定を大幅にオーバーし感謝と笑顔で解散、最寄りの京急田浦駅から汐入へ移動し予約済みだったYOKOSUKA軍港めぐりの14時便へ。目的はプレリアルの流し撮りだったが、米海軍の新旧イージス艦大量捕獲や出港目前の空母ロナルド・レーガン、寄港直後の試験艦あすかなど豊富な見どころ。見学したやまぎりがあすかに阻まれて見えなくなっていたのが残念だったが、いずれ機会はあるだろう。車をピックアップするため再度京急田浦へ戻り、ギリギリランチタイムに間に合ったお店でカレーを頂いた。大好きなチーズナンで、ようやく誕生日休暇を締める事ができたように思う。