- 活動日:2020/6/14
- 参加者:Joji Ikeda,Kazuto Goto,Taisei Yamanokuchi
- 目 的:低山登山体験およびWeb素材収集
4回目のアラハンコンパは、宮崎市南部の双石山(ボロイシヤマ)。砂岩がボロボロ崩れる様子から名付けられたそうですが、なんでも植生が天然記念物指定の宮崎を代表する山で、トレッキングから上級者向けコース、ロッククライミングもできる天然のテーマパークみたいな場所なんだそうな。4年も住んでたのに初めて知りました。
実は今回の登山、筆者的に非常に気乗りのしないものでした。理由は、
- 前回のミヤマキリシマ三部作から2週間弱しか経っておらず、あまりに満足したため山登りに対する欲求が乏しい
- 梅雨真っ只中のため雨が降れば撮影に制限がかかる
- 第一候補の市房山が遠すぎる。
等の消極感でしたが、天気の都合で若干近い第二候補の双石山に変更され、さらに猛暑を見越し秋まで登山活動の休止が発表されたため、前日夜に急きょ参加を決意。DAKARAスポーツというお安いドリンク(AZはやとで2L¥138、とても美味しい)と行動食だけ調達して、夜の11時に鹿児島を出発しました。道の駅都城で3時間ほど仮眠し、朝7時に小谷登山口へ到着。コッヘルをチタン製に換え、トレッキングポールを一本減らし、水も1.5L(別途スポーツドリンク750cc)に留めるなど軽量化を意識しましたが、体感的にはあまり軽くはならず。晴れ男パワーで天気だけは最高なので、いつものように重荷を背負って登り始めました。
元々あった杉林が一面サッパリ切り倒され、しばらくは直射日光下の稜線流し。早くも汗が吹き出ますが、木のツルでできた天然のブランコや渓流のせせらぎ、巨岩の佇まいに癒されつつ森の中へ。ロープや梯子が多めですが、公園のアスレチックレベルなので子供でも余裕で登れそう。2時間ほどで到達した最初の景勝地は、高さ10mを超える天狗岩。砂岩の全体が風化でボロボロに穴が空き、根元に小さな針の耳神社が鎮座しています。右側に迂回すると割れ目に入れますし、裏側は切り立った一枚岩!なんともミステリアスな奇岩でした。
次に空池(カライケ)という、巨岩の壁に囲まれた谷が出現。隙間があるのでどれだけ雨水が貯まったとしても池にはならない場所ですが、底に立って空を見上げると、空が池のように見えるんだとか。ここの出入り口が代表的ですが、大きな岩が割れ目に引っ掛かったような状態が数多く見られ、どうやってこうなったのか興味深い。岩から木が生えているように見える場所も多く、神秘的な空間です。次の大岩(第一)展望台は、高さ5mほどの岩をロープで登り、螺旋状に迂回して頂点へ。屋久島の太鼓岩に似た巨岩からの眺望は素晴らしく、やっほぅと叫びたくなります。なぜか仰向けでなく、うつ伏せで岩を抱きたくなったので、隊長と実行しました。双石山の一部になれたような。
ベンチやテーブルがある第二展望台に到着すると、この山随一と呼ばれる眺望が拡がり、シーガイアのシェラトンオーシャングランデも確認できます。第三展望台や頂上はここより眺望が良くないと聞いたのでドローンで空撮を試みましたが、上空30m地点で突風に煽られて制御不能になり、どんどん東へ流されていきます。必死に誘導を試みましたが、最終的にバッテリーの急激な枯渇にて、現地より500m東の山中へ墜落。すっかり意気消沈し、この日のために用意したHSM(ホット・サンド・メーカー)でのランチも、機械的な作業になってしまいました。通信途絶時の座標は残っていたため、昼食後にメンバーの協力で片道1時間の捜索を強行しましたが、絶壁に阻まれて苦渋の中止を決断。
振り返ってみれば私が捜索に徹底反対すれば事なきを得たのかもしれませんが、宝の地図の誘惑に勝てず2時間をロス。もちろん時間だけでなく体力も食料も水もロスしたため、最悪は遭難に至る可能性もありました。三人寄らば文殊の知恵と言いますが、この日一番のダメ男は紛れもなく私。登山道復帰後も登頂を直訴し、下山中に都合2.25L用意した飲料水が枯渇。飛びそうな意識の中、お高い登山靴にも関わらず苔や落ち葉で何度も尻餅をつき、息も絶え絶えに麓の神社までたどり着きます。なんて事でしょう、突如湧き水が出現し、しかも御神水で飲用可!!まさに砂漠でオアシスに遭遇したような歓声を上げつつ、まずはたっぷり1Lほど喉を潤し、塩だらけの顔を洗って、水筒に補給しました。
私がせっかくだから双石山の頂上を目指そうと主張したため、成り行きで駐車場から3kmも離れた九平登山口へ降りる事になったのですが、水が切れたタイミングでこちらにしかない水場に巡り会えたのも、偶然か必然なのか。山の恵みに心から感謝しつつ、清々しい気分で神社の参道を降り、県道を3km歩いてようやく登山終了。わずか500mほどの山にも関わらず、歩行距離10km、3万歩も歩いて17:30の下山でした。
行きも帰りもとにかくアップダウンが多くて、山登り谷降りを何度繰り返したか分からないほど。ピンク色の目印はたまにしか現れず、うまく見つけないとあっという間に登山道から外れます。古くは山伏が修行した山だそうで、鍛えられ甲斐があると言えなくもないですが、頂上の手前にそびえ立つ、見たこともない程豪華な山小屋があり、20名ほどの熟年トレラン集団と遭遇したりと、とにかくこの山が憩いの場として愛されている事が分かりました。喜怒哀楽が詰まったこの山を、誰かが言ってた「My Mountain!」と、私も親しみを込めて言わせて頂きたいと思います(地主さんだったりして)。また来るかもね、この山は。。