彗星と言えばハレー彗星世代ですが、近年では映画「君の名は」で、彗星の欠片が地球に墜落したり、火球が千葉県に墜落したりと、何かと物騒なイメージがつきまといます。アメリカ合衆国の赤外線天文衛星NEOWISEが2020年3月に発見したネオワイズ彗星が、7/23に地球最接近するにつれ明るくなってきたそう。twitterでは大きくほうき状に尾を引く彗星の写真が流れ、あんなに綺麗に見えるならちょっと見てみたいものだなぁと思う事でしょう。
もっとも明るくて3等星くらいだそうですが、あいにく鹿児島県は連日曇り空で、家族で日置市の江口浜へ見に行った際は、彗星どころか一番星すら確認できない残念な結果に。翌日は梅雨明けを予感させる素晴らしい晴天に恵まれたため、仕事帰りに再び夕方から江口浜へ。直射日光からの凄まじい熱気をしのぎつつ、サーファーや夕焼けを撮りながら待つ事3時間!ようやくあたりが暗くなったのは、夜8時を過ぎてからでした。
ビクセンのコメットブックという追跡アプリによると、北西に登った北斗七星と地平線との中間くらいに彗星が現れるそうですが、いちき串木野市街地の明かりの影響で、肉眼では星一つ見えません。夜9時を過ぎて北斗七星がくっきりと姿を現わしても視認できないため、焦って近くで撮ってた凄い装備の方に様子を伺ったところ、お高そうな双眼鏡で場所を示して頂き、方位と高度を何となく確認。その後は少しずつ位置を変えながら何枚も撮って、十数枚目でようやく尾を引く青白い星を撮影できた時は、思わず叫びそうな喜びでした。
その後は焦点や感度、露光時間を調整して何度も撮りましたが、この日はほとんど雲に隠れていたため、白い雲だけが写ることも多かったものの、ようやく糸口がつかめた充実感に浸りました。この日は300mmF4の単焦点レンズで、iso3200、30秒露光が標準的な設定。また次の日は快晴で、カメラ仲間が行かれると聞き、様子見がてら夜8時に自宅を出発。思った通り雲ひとつない星空が広がり、相変わらず目視は出来ませんでしたが、欲張って450mmF5.6、iso6400で押さえました。
彗星の撮り方ですが、最初にだいたいの方角へレンズを向け、50mmくらいの標準レンズで撮影すると彗星の位置がわかるので、方位と高度がフィットした三脚の状態でレンズだけ望遠に変えて撮るのが一般的な方法。50〜100mmくらいのレンズで風景やオブジェと絡めるのがより完成度を高められるのですが、あいにくそのようなロケーションを思いつかず、クローズアップのみ撮影となりました。人工衛星の光跡らしき線が写り込んでますが、アメリカのスターリンクという人工衛星が数多く周回しているので、高い確率で写り込むのだそうです。
また現像で、尾の広がりを描写するために明るめにすると核のエメラルドグリーンが飛んでしまうので、現像泣かせの被写体でした。ただレンズ越しに、明らかに他の星より青白い星を見つけた時の胸のトキメキは、まさに彗星撮影の醍醐味でしょう。最接近の7月23日を境に徐々に地球から遠ざかりますが、もう暫くは観測できると思います。星の動きを追尾できる赤道儀や、PENTAXの簡易追尾機能であるアストロトレーサーを使うというテクニックもあります。しばらくは北西の夜8時から10時まで、注目ですね。