横田日米友好祭2022DAY1

朝イチで横須賀に寄港したアメリカ海軍原子力空母CVN-72エイブラハム・リンカーンの撮影に成功し、そのまま北千住と銀座で写真展鑑賞。どちらの会場でも顔見知りとたっぷり写真談義を交わし、後ろ髪を引かれるような気持ちで最終目的地のアメリカ空軍横田基地へ。5月21日と22に渡り、3年ぶりに日米友好祭「Yokota friendship festival」が開催されることで、前日から外来機が飛来し航空界隈における今年一番のお祭りムードだったのですが、当初土曜は祭りに参加せず、新宿で写真展メンバーの懇親会に参加するつもりでした。私の都内最初で最後になりかねない大事な写真展の初顔合わせとあって楽しみにしていた飲み会でしたが、スケジュールが流動的な友好祭当日になって、当初日曜だった花火の打ち上げが土曜日に前倒しされたことが判明したのです。

 横田基地の代名詞であるC-135ハーキュリーズ輸送機の背後で上がる花火は私にとって憧れの構図であり、どうしても撮りたい一枚でした。天気も悪そうだし花火は諦めるか迷いましたが、最後のチャンスかもしれないと思い意を決して懇親会の欠席を打診します。会長さんは快く受け入れてくださり、万一また予定が変わったら遠慮なく参加してねとありがたいお言葉を頂いて、御恩に報いるためにも傑作を撮らざるを得ない状況に。すんなり入れるかどうかも賭けでしたが、とりあえず会場最寄りの京橋から牛浜まで電車で移動。第5ゲートに到着すると午前中は入場まで3時間かかると言われていた大行列は皆無で、待たされることなく夕方5時に横田基地へ。噂されていた厳重な持ち物検査も顔パスに近いウォークスルーで拍子抜け、ゲートガートも心なしかお疲れのご様子で「はいはいどーぞどーぞ」といった感じでした。事前アナウスでは小型三脚のみ持ち込み可ということで、リュックに入れた三脚が小型に該当するか内心ドキドキしていたのですが、万一これダメって言われたら拙い英語で猛抗議する覚悟を秘めていただけに、キツネにつままれたような表情を浮かべつつ春の桜祭りに続いて入国を果たしたのです。

 実に3年ぶりの航空祭とあって、ワクワクが止まりません。ひとまず一番奥の航空機展示エリアを目指しましたが、もともと17時には閉鎖される場所だったので、ちょこっと侵入を試みただけで憲兵の車両にGet out  callを食らいます。それでもジリジリ下がりながら大枠を観察して、明日どのように回るか確認しました。一度C-17グローブマスターⅢ輸送機が着陸してきたおかげで、思いがけず飛行展示も満喫。完全に閉鎖されたあとは、花火の撮影場所を探したり物販を物色したりと、雰囲気を楽しみつつ会場をぶらつきます。格納庫や外のステージでは音楽が鳴り響き、美味しそうなフードを抱えたギャラリーも多く、せっかくなのでステーキの屋台に並んでみました。ワイルドな肉塊もあったそうですが、私が食べたのはキャロットラペもたっぷり入ったバランスの良いワンプレート。¥1500ですが200gほどのステーキに甘辛いサルサソースがたっぷり掛かっていて、これが激ウマ!ワサビで頂いた脂身の多いいきなりステーキも美味しいと思いましたが、赤身肉にサルサは相性が良いですね。

 お腹も気持ちも満たされて、夜も更けてきました。インフォメーションのアナウンスでは、花火の前に日米両国の国家を演奏するとのことでステージを注視していたら、なんとアカペラで二人のWAVE(女性兵士)によるユニゾン!美しい日本語での君が代と、星条旗よ永遠なれ。奇しくも日米国家の歌詞が同じ意味だったことに気付きましたが、これには拍手の嵐でした。そして歌い終わった直後に管制塔近くで勢いよく上がる花火!やはりエンタの国アメリカの演出はヤバいですね!そうは言っても選択した立ち位置が微妙だったのと、それまで座っていたギャラリーが一斉に立ち上がり、中には携帯を頭上に掲げて動画撮影する方も現れたので、三脚のエレベーターを伸ばしたり立ち位置を変更するなど必死のリカバリー!微調整でようやく画角を確保したので、いつものようにレリーズと4枚の多重露出で撮影開始。日本の花火に比べるとなんとなく淡白な上がりでしたが、打ち出し方向がいい感じにバラけてきたところでバルブシャッターを切ります。20分ほど打ち上がった中で結果的に数枚は見応えのある作品が撮れてましたが、花火が終わった途端に大粒の雨が降り出したので、大急ぎで撤収。ジリジリとしか進まないゲートまでの大行列に耐えていると、左手に並んでいた四人組で金髪の若いお兄ちゃんから唐突に「エアドロップで花火の写真送ってもらえませんか?」と打診されます。

 驚きつつも「どうして僕が花火撮れた事知ってるの?」と尋ねたら、「いやーなんとなくいい写真を撮ってそうだと思ったので」とのこと。あとで振り返ってみれば背負ったリュックの口が空いてて中から三脚が飛び出していたヒントもあったのですが、それにしてもiPhone ユーザーかさえ分からないそこいらのおっさんに声かけるとは大した度胸だなと思いつつ、内心はよくぞ僕に声を掛けたね!とウキウキしながら、第5ゲート前の交差点でセレクトーiPhone転送ーLightroom アプリで現像し、エアドロップで転送してあげました。作業中から「傘持ってましょうか?」と気遣う言葉をくれるなど、外見に似合わない純朴さを意外に思っていましたが、彼らはまるで飛び上がらんばかりに「わっスッゴイ!飛行機もちゃんと写ってる!!」と喜んでくれました。ご存知かも知れませんが、写真家は見てくださる皆様の喜びをエサに生きております。Good jobを成し遂げた後に頂いた甘美なデザート!今日の日の終わりに無上の喜びを感じたのは、言うまでもありません。

 彼らは雨の中、バイクに2ケツで去っていきました。私は傘を差してキャリーカートを引きながら、列を乱さず自宅まで歩くのに結局1時間近く掛かってしまいましたが、思わずスキップしてしまいそうな軽い足取りでした。朝から続いたミラクルを締めくくる、素敵な余韻に浸りながら。嬉しいことに、明日また大好きな横田フレンドシップフェスティバルに戻って来られる。最高の夜だ!!