写真展「第2回ヒコーキ✈︎ひこうき✈︎飛行機」が2022年8月19日〜25日まで、富士フォトギャラリー銀座4Fで開催されました。来場者は概算で2000名近くに及び、一日あたり200名ほどのご来場!入場制限こそ発動に至りませんでしたが、お越し頂いたお客様には窮屈な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした。そもそも出展者だけで29名、その半数が在廊しても窮屈は明白ですので、在廊作家は別室待機で呼び出しボタン制にする(笑)など、次回の課題にさせて頂きます。また運営の皆様におかれましては、ほとんど面識がないにも関わらずプリントやレイアウトなどのアドバイスを頂き、設営と撤収も代行して頂くなど、新人に相応しくない態度で申し訳ございませんでした。今回の流れで東京在住でなくても参加できそうな感触を掴めたので、転勤でどこに飛ばされようが出展できそうな気がしてきました。ちなみに第3回は2023年8月18日から24日だそうです(笑)
私は、昨年行われた同写真展の第1回に客として訪問しました。素晴らしい写真に魅了されつつも、御苗場の展示を成功(テラウチマサト賞ノミネートほか)させたり日本航空写真家協会のフォトコンに入選したりと売り出し中だった私は、まるで道場破りのような不遜な態度で「こんな感じで撮ってます!」と御苗場用に制作したファントムの写真集を差し出したところ主催者の目に留まり、次回の出展にスカウトして頂いたという経緯。東京オリンピックのブルーインパルス祝賀飛行では新宿中央公園での撮影にお誘い頂いたり、別の写真展にもお伺いさせて頂くなど交流を重ねて、今回の出展に至りました。ちなみにパラリンピックの祝賀飛行を渋谷駅で撮ってたら共同通信社の取材を受け、全国紙に載ったというオチも。
最初は御苗場で展示したB0タペストリーの流用でいいかと軽く考えていたら、富士フイルムのギャラリーなので印画紙プリント指定と言われてボツ。それならばと自分の飛行機撮影のベスト写真集を新たに制作し、その中から数点を大判で出展するつもりでおりました。そんな中訪れた横田基地日米友好祭では、期間中にバイデン米大統領搭乗機「エアフォース・ワン」が着陸するなど歴史に残る大イベントとなったため、急きょテーマを差し替えてこの日の記録を出展することに。おかげで写真集から作り直しになってしまったのですが、どうしてもコレを展示したいという熱意のもと、なんとかやり遂げました。ゲラの段階で提示された会場レイアウトでは、私の9枚の作品は会場入り口、受付正面に配置され、観客が最初に訪れ最後に視界に入るゲートガード的なポジション!今回の写真展のレアリティを特徴付ける起爆剤としての使命を授かり、ありがたいやら勿体ないやら。身の引き締まる思いでした。
代表作品は開催初日の夜に、横田基地を代表する輸送機C-130Jハーキュリーズの背後で打ち上げられた花火の写真。もともとは2日目の夜に打ち上がる予定でしたが、突然の大統領来訪を受けて前倒しに。その日は新宿で写真展の決起会へ参加する予定でしたが、「この花火を撮るのが夢でしたので行かせて下さい」と泣きを入れ、ドタキャンを受理されて快く送り出して頂きます。その日は午前中横須賀で撮影し、北千住と銀座の写真展を経由して横田入りというハードスケジュールでしたが、おかげでなんとか理想的な写真を撮り切りました。帰り際にすぐ横を歩いていた金髪の若者4人組から「花火の写真貰えませんか?」と突然頼まれ、驚いて「僕が花火撮れたことなんで知ってんの?」と尋ねてしまいましたが、なんか撮ってそうな気がしたというお返事に苦笑しつつ、その場でiPhoneへ転送しレタッチ、AirDropで分けてあげると「うわー凄い!飛行機もちゃんと写ってる!」と大喜び。最後にそんな報酬ってあるでしょうか?写真を続けてきた努力が報われて、スキップのような足取りで帰宅したことを覚えています。ああいう外見は派手でも素直な子供たちが将来、航空祭のサイン会で「昔横田で写真を頂きました!」と名乗り出るパイロットになっちゃってたりしたら、僕はその場で号泣するでしょうね。
セピア調に仕上げたMPの写真は花火と同じく初日に撮影し、写真集の表紙に使ったお気に入りのもので、地上展示エリアから観客を締め出した後の余韻に浸るミリタリーポリスの黄昏を切り取りました。オスプレイやハーキュリーズを見守るようにも写り、明日への期待感が高まりますが、ご本人は仕事の段取りで憂いていたのかもしれません。飛行機写真展と謳っているにも関わらず結果的に半数がヘリコプターの写真となったのは偶然ですが、練馬駐屯地開庁記念行事や館山ヘリコプターフェスティバルで、ヘリコプターに魅せられつつある私が確かにいます。UH-1Nツインヒューイはイロコイをツインエンジンに改造したもので、レトロな外観ながら機動力はお墨付きの代物。基地祭では写真撮影や警戒、レスキュー展示など八面六臂の活躍で青空に輝く銀色の機体が眩しく映えました。
F-16Cファイティング・ファルコンは三沢基地所属のバイパーデモチームが来場し、市街地なのでアクロはできないものの航過飛行を実施するとの事で楽しみにしておりました。午前中トップバッターで離陸し見事なハイレートクライム(ダメなやつ笑笑)その後一向に戻って来ずどうした事かと見つめていると、降着装置の故障で飛行キャンセルしたとの事。残念でしたが数日前に三沢から横田へ展開していたWild weasel隊の凄まじい機動を撮影成功していたのでまぁ良し。 午後になって地上展示されていたF-16がトーイングカーに接続され、メカニックが井戸端会議を始めました。失敗したのでさっさと引き上げる段取りかと思いきや我々の目の前で突然エンジンスタートし、そのまま飛行展示のリトライへ!轟音と熱風を浴びながら歓喜する観客の熱い視線を受けて、サンダーバーズに移籍したプリモ太尉の後任シリウス少佐が颯爽と飛んでいきました。アメリカ人のイカしたパフォーマンスには驚かされます。
続いて登場したのはCV-22オスプレイ。陸自に導入され随分と身近な存在になりつつありますが、岩国フレンドシップデーでお馴染みレベルⅢデモと呼ばれる、回転翼モードと固定翼モードを切り替えながらの機動飛行展示。最後に機首を下げてのお辞儀パフォーマンスが可愛らしい。スピードが速いので騒音も一瞬で過ぎ去るのですが、反対派は気に障るみたいですね。午前のF-16のキャンセルを受けて代打を名乗り出たのが、大統領警護のために韓国から飛来していたCH-47Fチヌーク。大きく前傾してのハイスピード・タキシーを披露して会場を盛り上げました。機敏な動きのチヌークは大変珍しく良いものが見られたのですが、後日インスタグラムでチヌークのパイロットを名乗る軍人2名から写真を分けて欲しいと依頼され、ちょっとした外貨稼ぎに。チヌークが警戒する奥のタワーにはスナイパーも配置されておりました。
二日目の横田基地祭で開門後真っ先に向かったのが、会場最奥部のKC-10Aエクステンダー。三発機の傑作DC-10を空中給油機に改造したもので、お尻に垂れ下がったフライング・ブーム(給油口)を操作するブーム・オペレーターとレーダー員、機長と副機長の4名で運用するそう。機内見学のため1時間ほど並びましたが、パイロット席に座れるなど貴重な経験を得られました。横田基地のスポッターにはエクステンダーを「神」と崇める(面白)集団が存在するそうですが、夕陽を浴びたシルエットは荘厳であり、退役間近に出会えた事は聖地巡礼に匹敵するレアイベントでしたね。
大統領を横田基地から赤坂ヘリポートまで輸送するためC-17輸送機で運ばれたと思われる2機のVC-3D要人輸送ヘリコプター。大統領搭乗時のコールサインは「マリーンワン」と呼ばれ、2機同時に飛び去り、夕方帰還。大統領関連の機体は他にも記者を乗せたB787や要人を乗せたC-32Aが飛来し、会場を沸かせました。最後の写真は5/24の18:10に横田を去ったVC-25エアフォース・ワン。もちろん仕事でしたが、定時退社で車を飛ばし、アパートから自転車を走らせること5分、基地まで間に合わないなと諦めかけたところ途中の武蔵野橋にカメラマンが30名ほど詰めていたため並んで待機。そのわずか数分後に巨躯を緩やかに持ち上げて、来た時と同じような夕陽を浴びて去っていきました。着陸時は単焦点レンズしか持っておらず用心の末50mmで撮ったらかなり小さく写ってしまい、純正70-200mmを調達するきっかけに。お陰でその後の撮影環境が大幅に向上しました。
私が在廊した8/21の3時間、訪ねて下さったフォロワーさんが名乗られただけでも5名いらっしゃったのですが、その中のお一人が界隈で有名な方で、酒の席でお誘いしたにも関わらず律儀にお越しくださり、大変熱心に見届けて下さいました。これまでは選ばれて飾られないと出展に値しないと思ってフォトコンテスト中心に活動しておりましたが、ギャラリーで展示するいうことは仲間やファンとの交流の場を作る事だと理解できました。賞金や名誉は一時的なものですが、仲間とのお付き合いは一生もので、私の作品を具体的に褒めて下さり、一生懸命作ったフォトブックを熱心に見てくださる様子に、写真家として存在できる喜びを深く噛み締めたものです。「別の作品が見たい!」というリクエストを頂戴したので、また明日から展示に見合う作品を量産して、皆様と触れ合う機会を設けたいと思います。応援して下さいました皆様へ心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。
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