小牧基地オープンベース2023

航空自衛隊小牧基地オープンベースが4年ぶりに開催されることに決まったが、輸送機主体のためあまり食指が動かなかった。ブルーインパルスが土日飛ぶので、金曜の夜行バスで行けば2回見られるという思惑もあったが、鹿児島弾丸帰省から茨城千葉遠征を経て、さらに名古屋は激しすぎだし、何より費用が捻出できない。週末は外に出ず、ゆっくり休もうと思っていたのである。きっかけは金曜日に、外来機のフライイン撮影目的で名古屋入りしたフォロワーさんのスクープ。侍ジャパンの練習試合にチャーター機で合流した世界のオオタニサーン、ではなく政府専用機B-777シグナスが、地上展示のために降り立ったのである!どうも小牧基地司令(渡部琢也空将補、元ブルーインパルス飛行隊長、空幕広報室長)はマジで空自輸送機を全て集めるつもりらしい。これは居ても立ってもいられずスケジュールを調整し、土曜日の夜行バスを予約したのである。

 あらかじめ調べていたバスに西国分寺駅発のものがあって、新宿や東京駅まで行かないで良いから楽だな〜と思っていたが、それは既に売り切れていた。前泊ナシなので窮屈で疲れる4列シートではなく、広い独立3列シートで爆睡したいと検索し直した結果、なんと最寄駅の拝島から電車で15分の八王子駅発を発見!しかも朝05:20着予定なら前泊組より早く動ける可能性が高い。¥7000だが新幹線より安く宿泊費も浮くため最適と判断した。おかげで土曜日は朝から友人の写真展に出かけ、昼は航空写真家、徳永克彦カメラマンの個展とセミナーを鑑賞。事務処理なども済ませて1日を有効に使う。程よく疲れたおかげで、深夜0時前に出発したバスが名古屋駅に着く05:05までぐっすりと眠れた。なお腰の隙間をなくすためのウレタンクッションと、遮光用アイマスクは必携。

 真っ暗闇の名古屋駅は多方面から同時に降りたツアーバスから観光客が溢れ出し、気味が悪いほど大勢で行列を形成しつつ名古屋駅方面へ流れる。最も早く小牧基地へ到着する方法が地下鉄を二つ乗り継いで名鉄乗り換えだったが、初めての名古屋地下鉄は経路が分かりにくく何度か間違えたものの、06:10には小牧基地へ到着。牛山駅にトイレがなかったのが誤算だったが、07:00に検温と手荷物検査を終えてすぐ仮設トイレを借りられたので粗相せずに済んだ。せっかく最前列が空いていたので、ブルーインパルスとシグナスの中間地点を確保。この位置からならウォークダウンもバッチリ見られそうである。無用心ながらも荷物を残し、さっそく政府専用機ボーイング777シグナスへ駆け寄るととんでもなくでっかい!しかも初公開の空中給油機KC-46やKC-767が隣接していて、国内最大級の飛行機に囲まれて感無量であった。少し年上の友人に輸送機マニアがいらっしゃったが、私も50を前にしてその気持ちがよく分かるようになったかもしれない。

 程なくフリーカメラマンの知り合いに声を掛けられ、感動を分かち合う。とりあえず最低限を撮影してポジションに戻ると、主役のC-130輸送機とKC-767空中給油機が離陸。またフジドリームエアラインズのカラフルなエアラインが次々と離陸する中、さらに海上自衛隊のP-1対潜哨戒機が降りて来た!C-2、P-1の兄弟機が揃ってますます盛り上がる中、編隊飛行と機動飛行が開始。途中岐阜基地から飛んできたF-2A試験機が豪快なデモンストレーションを披露し、そのまま空中給油デモへ!米海兵隊の岩国フレンドシップデーでしか見たことがなかった空中給油デモを自衛隊がやるとは、時代も進んだものである。その後愛知県警察航空隊のヘリコプターから警備犬がホイスト降下して模擬探知を行ったり、タキシング中のC-130から「小牧基地」と書かれたコンテナが転げ落ちたり、どれだけ準備して来たのだろうかウルッと来てしまうほど熱の入った仕込み。これは来て間違いなかったと感心した。

 陸上自衛隊のCH-47による機動飛行や救難隊のU-125AとUH60による救助デモを経て最後にブルーインパルス登場。ラストフライトの6番機眞鍋一尉を追いかけたが、仙台から黒澤英介カメラマンも空撮参加したり、3番機藏元一尉のデビューと鬼塚一尉の引退など細かい事情も詰まっていた模様。天気が下り坂のため5区分水平系の構成ではあったが終始気合いの入ったフライトで、他の会場では通過種目がまっすぐ上空を抜けるところ、民間空域を避けるため会場手前でレフトターンする通称「春日井ターン」も拝めて文句はない。改めて神席をゲットできたことが大きな恩恵であった。最後は陸自ヘリやブルーの帰投を見届けて、ほぼ最終居残り組の観客と一緒に電車で名古屋駅へ。地下の食堂街を物色したが空腹より眠気が勝ったため、名古屋メシを諦めて新幹線に飛び乗ったおかげで、19:30には帰宅。ゆっくり余韻を楽しめた。560mmの使いすぎで右腕の感覚が無くなったが、初めての現場にどんどんチャレンジしていきたいと思う。