道具と私 〜登山靴を選ぶ〜

 私が初めて一人旅を経験したのは、大学4年の夏。宮崎から大阪までフェリーで渡り、舞鶴から小樽まで再びフェリー。時計回りに北海道を一周した、3週間弱のソロ・ツーリングでした。

 一番大事な道具は地図で、昭文社のツーリングマップルシリーズ。関西版と北海道版をビニールカバーで補強し、行程計算に活用しました。ウェアラブルギアという事に関しては、やはりレインギアと防寒、ケガ予防を兼ねたライダースーツ。本格的なものは高いので、通販で入手。あとはCASIOの電子手帳を携行して、走行距離や経費の管理など。カメラと三脚は風景撮影だけでなく、自撮りの記念撮影にも重宝しましたね。

 この頃アウトドア・ギアを扱うショップは少なくて、売り手市場と言いますか、お金持ちでないと買えないグレードが多く、もっぱらホームセンターか釣具店を活用していました。カッパひとつでも、日常用とアウトドア用の違いは、耐久性、透湿性、手ざわり、軽さ、識別性、携行性などの特色が異なり、それら全てを満たしたものと、100円ショップのものを比較すれば、数万円もの開きが出てくるのは当たり前。あとは予算と比較して、どの点を妥協するか、その辺りを考えて、道具選びを進めて行きます。今思えば、高めのものを厳選して買い続けた方が、結果的には快適な旅路に繋がったのだろうなと思います。

 前置きが長くなりましたが、鹿児島でアウトドア用品が購入できるお店について、調べてみたいと思います。アウトドア用品と言っても、その実態はキャンプ用品が多くて、ちょっと本格的な山に登り登山靴必要だな〜って思っても、登山靴を取り扱うお店は少ない事に気づかされました。
 
 そもそも友人(熊本ー宮崎を行ったり来たりする県民)が履いている「5万円」弱もする登山靴を、全国最低賃金ランキング最下位争いを激走する鹿児島県民のダイが買えるんでごわすか!と謎の悔し涙を流し続けた私ではあるのですが、先日の開聞岳登山でも、下山中に案の定下半身が不安定となり、尻餅や膝打ちなど足元がおぼつかない事多数。

 一番の原因が、2009.9.14富士山登頂前に、川崎ルフロンのASBeeで買ったコロンビアのハイカットブーツ(ゴアテックス2万)が、登山用かトレッキング用かはともかく古いッ!という事でしょう。足にフィットするものの靴底はブヨブヨで、ソール(足底)のつま先が曲がる。草むらやけもの道を歩くだけなら快適ですが、ガレ場や岩場で踏ん張る事ができない。昨年の(遭難しかけた)由布岳登山でも、家から適当に持っていったKEENのトレッキングシューズでは、岩場の出っ張りに爪先が掛からず、明らかに安全靴が必要な危険箇所に下駄で来ちゃった(てへぺろ)みたいな無防備さを、岩のてっぺんで溶けかかっているナメクジのような体勢で目の当たりにしたものです。

 こと登山では、荷重を正確に路面に伝え、反発力を前進力に転換する目的で、ソールは硬く曲がらない事が必須であると教わりました。実際に専用登山靴を触らせて頂くと、靴底のゴムはカッチカチで、ゴムと足の間にシャンクという、屈曲を防止するための板が入っている。さらに冬季登山用の爪などが装着できるような工夫もあり、まさに専用設計である事が分かりました。

 靴底以外の素材では、最高級透湿素材、汗は逃し雨はブロックするゴアテックス内臓がオススメで、さらに合成繊維よりもスエードや本革など、皮革を使ってある方が耐久性が高い。海外メーカー製は靴幅が細めに作ってあるそうなので、日本人であれば靴下の厚みも考慮して、ワンサイズ上のチョイスが望ましいそうです。

 そして靴だけは、事前に足長や足幅の計測を行い、入念に試し履きして足に合うものを買っておかないと、靴擦れやケガの元になります。鹿児島で比較的、登山靴のラインナップが豊富なのが、イオンモール鹿児島3Fのシェルパ。ラ・スポルティバやスカルパなど、有名海外ブランドの靴を試着できます。イオンモールから徒歩数分の場所には、A-RUKU OUTDOOR-STYLE GEAR Supported by 好日山荘という、ジーンズマエムラが運営するアウトドア用品専門店があり、サレワ、ザ・ノースフェイスなど、メジャー系から珍しい靴まで取り揃え。私はこちらでSIRIOという日本のメーカーが、幅広な日本人の足型で設計した図面をイタリアに送って、イタリアで製造したモデルP.F.431(税込¥33300)を購入しました。

 私はこれまで、登山靴のようなゴツい靴は見分けが付かず、せいぜい足首をガッチリガードするハイカットか、中くらいのミッドカット、歩きやすいローカット。あとは透湿素材の有無やメーカーの違いくらいしか知りませんでした。
 
 海外の登山靴はアルパイン、マウンテニアリング、バックパッキング、トレッキング、ライトトレッキング、ハイキングなどと明確に用途が分かれているそうで、つまりは靴の目的が明確になっていないと、店員さんも勧めようがない。よく「どんな山に登られますか?」と聞かれるのは、用途を聞きたいからなのでしょう。
 
 そしてゴツければゴツいほど安全で丈夫ですが、歩きにくい可能性が高いので、目的を叶えつつ、自分の足と体力に合致した靴を求めて、いろんなショップをさすらうのが、週末の楽しみかもしれません。

 それでも迷ったら、天文館のmont-bellがオススメ。メーカーなので靴もmont-bell製がほとんどですが、メンテナンスも含めて考えると何でも相談できる点が圧勝だと思われます。私も帽子や手袋、Tシャツなどはmont-bell一択ですが、靴は失礼ながらあまりピンとこなかったので、候補に残りませんでした。

 ただ衣類の快適性とコスパは抜群なので、フリースジャケットなどもぜひ袖を通して体験していただきたいものです。ちなみに傷つきやすいアウターやパンツは、中山バイパス沿いのワークマン・プラスが超穴場!一回の山行で破いても惜しくない、2千円を切る伸縮パンツやレインウェアがあります。しかも破けません!マジすごい。
 
 与次郎のアルペンアウトドアーズ(フレスポジャングルパークのスポーツデポ内)には、おしゃれな輸入ギア満載!皆さんもオススメのショップやアイテムをご存知でしたら、こっそり教えてくださいね〜!

  • シェルパ:鹿児島市東開町7イオンモール鹿児島3F 099-204-7841 
         営業時間:10:00~21:00(年中無休)
  • A-RUKU OUTDOOR-STYLE GEAR Supported by 好日山荘
        :鹿児島市東開町3-2 099-204-7330
         営業時間:11:00~20:00(土日祝10:00~)水曜定休
  • mont-bell:鹿児島市東千石町19-1 099-239-0305
         営業時間:10:00~19:00(時短営業中)
  • WORKMAN+:鹿児島市中山2丁目49-1 099-269-1188
         営業時間:07:00~20:00
  • アルペンアウトドアーズ:鹿児島市与次郎1-11-1 099-206-9001
         営業時間:10:00~21:00