秋の陸海空自衛隊取材

今年の秋の自衛隊訓練は、米軍との共同訓練を含む全国各地で行われ、特に尖閣諸島を想定した離島奪還作戦に重点が置かれました。仕事が忙しくて全く遠征できず、タイムラインの画像を歯がゆい思いで見つめておりましたが、合い間を縫って函館港を母港とするナッチャンWorldだけ見に行きました。以前は函館~青森間を運行していましたが現在は定期航路から外れ、専らチャーター便として運用されていますが、最近ではPFI法という法律に基いて防衛省が自衛隊車両および人員の輸送手段として活用しています。

 五年ぶりに鹿児島へやってきたナッチャンWorldはマンタ(オニイトマキエイ)に似た双胴ウォータージェット推進という特異な形状のため人気があり、カラフルでシャープな外観にも関わらず兵器を満載できるギャップがマニア好みをくすぐりますが、今回は11/6に種子島から撤収した福岡小郡駐屯地所属の第5施設大隊と、11/8に霧島演習場から撤収した北海道遠軽駐屯地所属の第25普通科連隊をお見送り。戦闘車両が少なかったのは残念ではありますが、重機や地雷敷設車などはむしろ珍しく、興味深く撮影できました。間違えて大型トレーラーをバックで船に積み込む様子は30分ほど時間を要して見応えあり。波止場を埋め尽くしていた車両を全部収納できるキャパはさすがですね。

 着港した第5施設大隊は高速道路で福岡へ。出港した第25普通科連隊は二日間掛けて苫小牧へ移動とのこと。初めて出港を見送りましたが、直角に曲げられるウォータージェットのおかげで、戦車が左右のキャタピラーを反転させて独楽のように回る超信地旋回を彷彿とさせる180度転換をやってのけた事には驚きました。タグボート要らずなので、機敏な動作は軍事目的に最適なのかも。自衛官とは言え平時には普通の役場職員と変わらず、船上で普段着に着替えたら、そこいらのお兄ちゃんと見分けがつかない。ただ任務の都合上規律や統制が求められて、有事に力を発揮できるように厳しい訓練を行なっています。搭乗前に桜島を珍しそうに写メる若者達が、実戦経験なしで退官できる世の中を維持していきたいものですね。

まや来航

 2020年3月に就航した新型イージス艦まや型の一番艦、DDG-179まやが音紋登録のため海上自衛隊鹿児島試験所へやって来るという噂を聞きました。これまでの経験ではだいたい週末に来るよなぁと思いつつ、仕事のため国道10号線を北上していると、2隻のタグボートが福山へ向かっているのを発見!おなじみAIS(船舶通行業務)確認アプリのFindShipで確認してみるとまやが福山沖に到着している事を確認したので、仕事前に寄ってみました。タグボートが接舷作業を開始するタイミングで到着も、既に大勢のマニアがカメラを構えていましたが、実はここで接舷作業を見るのは今回が初めて。そもそも自衛隊のスケジュールは表に出ないので、私のような一般人はいつ来るのか分からない(はず)のですが、マニアの皆さんはいろいろな情報源を持っているらしく、ピンポイントで追いかけられるのでしょう。顔馴染みの皆さんと興奮しつつ、望遠レンズでアタックします。

 鹿児島試験所には岸壁がないため、接岸ではなく沖の停泊錨に接舷するのみ。乗員はそこから小型艇で行き来します。ただ300名もの乗員が全て上陸できるはずもなく、行われるとしても幹部のみのささやかな歓迎会程度でしょう。ちなみに今夏(特別なルートで)鹿児島試験所の視察を申し込んでいましたが、コロナで流れちゃいました。仕方なく海岸を試験所の裏門まで歩き、50mほどの距離まで近づいて撮影。夕景と夜景まで粘って、大きな収穫を得ることができました。

 まやが帰港する前日の朝、磯沖に停泊している様子を再び撮影。祇園之洲方面まで移動しながら、桜島と絡めて撮りました。横須賀基地配備ですが神戸では一般公開も行われたようで、最新装備のお披露目には気合を入れているのかも。自艦以外の艦船や航空機の情報を導入できる共同交戦能力や、弾道ミサイルを迎撃可能な日米共同開発のSM(スタンダード・ミサイル)3ブロック2Aの発射能力を備えたまや型は、来春二番艦はぐろ(DDG-180)が就航だそうなので、おそらく来年秋に鹿児島を訪れる事でしょう。私は鹿児島に戻ってきているでしょうかorz

  • 2020/11/12 13:00 鹿児島試験所接舷
  • 2020/11/17 13:30 祇園之洲沖出港

さよならファントム

 2020年に用廃(用途廃止)が決まっているF-4EJ改ファントムⅡが、所属する301飛行隊の壮行会(11/20:百里~三沢基地移転とF-4~F35A機種転換記念)を前に、かつて所属していた宮崎県新田原基地へ最後のお礼参り。黄色と青色の特別塗装機が2020/11/16夕方到着したものの、仕事のため見送りに行けず、タイムライン上でのお別れとなりました。46年もの長きに渡って日本の空を守り、パイロットにとっては操作に熟練するほど言うことを聞く玄人好みの機体だったそうで、現代のレーダー反射低減を意識した無骨なステルス形状と異なり、空気抵抗に逆らわない美しい流線型。最後の複座戦闘機が、静かに去ります(写真は2019年12月14日新田原エアフェスタ予行)。