大学受験を控える娘に何ができるか考えた結果、西武線の車内広告で気になっていた埼玉県秩父市の三峯神社へ参拝する事に。ちょうど秩父夜祭の宵祭と重なった12/2の朝5時に自宅を出発。8時に開く駐車場はすぐに埋まると聞いていたため百里基地のつもりで早出したのだが、駐車場は7時半でも開放されており、ほとんど車が居らず拍子抜け。一応8時に管理人が来たので駐車料金を支払い本殿へ向かった。何でも「気守り」という境内の御神木の欠片が入った4色のお守りが人気らしく、某スケート選手姉妹が授受した事で火がついたそう。かつて毎月1日には真っ白の特製気守りが配布されていたそうだが、スケート事件のおかげで参拝者が殺到し休止中。4色なのでちょうど4人家族分の気守りを買い求め、御神木にしっかりと祈願してきた。手水場や境内の装飾は龍神様がひしめき合い天界を思わせる。そして境内の前の敷石には、数年前に龍神様が浮かび上がったという模様も確認できた。なるほどこの場所は龍神様の巣なのではないだろうか。ちなみに鳥居に鎮座する獣は狛犬ではなく狼だそうで、珍しい三連の鳥居が玄関となっている。
参拝後は大和武尊命の銅像と奥宮である妙法ヶ岳を拝める展望所を見学し、さて帰ろうかと思ったがどうにも意識が奥宮へ向く。遠くには以前登った雲取山が懐かしくそびえ立ち、雲取山登山道の途中に奥宮があるらしい。せっかくなので行ってみるかと、水だけ持って行ってみることに。登山道に足を踏み入れた途端空気が変わり、自らを試されているような感覚。高い杉並木が続き、溢れる日差しが柔らかく行く手を包む。徐々に本格的な登山道と化し、道が正しいのか不安になったが、幾つかの荘厳な鳥居を潜り、出発から90分後にようやく奥宮である妙法ヶ岳山頂に到着した。鎖場もある普通に軽登山で驚いたが、登山靴などハイキングに相応しい服装で訪れたことは行幸であった。
そして頂上はまさに天界の如く澄み切った空気が充満する世界で、青空に向かってしばらく瞑想する。こんな山奥に数名の参拝者がいらっしゃるのは不思議な感覚だが、同じように意識に誘われて訪れたのだろう。後で調べたら10/9で閉山期間に入っていたらしいのだが、宮司さんの公式見解では閉山期間中登っても構わないが自己責任でお願いしますとのことだった。水を持って来て良かったがとにかく腹が減ったため、麓でおみくじ付きの三峯だんごを頂く。小吉だったので別に神社のおみくじを引いたらやっぱり同じ結果。おみくじは小吉くらいが一番縁起が良いらしいので御神託を胸に刻みつつ、持参した蕎麦を平らげて次の目的地へ。途中奥秩父湖を構成するダムの上を通過したため適当に高台に上ってみたら横瀬ダムの迫力ある写真が撮れた。ついでにダムカードも貰ってきたが、以前ダム事務所を巡る仕事をしていた時コレクションしなかった悔いが残る。秩父夜祭で花火が上がると聞き三脚を持って高台の公園へやって来たが、昨年撮った友人にポイントが正しいか確認すると今日はいわゆる前夜祭なのであまり花火は上がらないのだそう。それならば祭りの雰囲気を近くで味わおうと、会場近くの小学校を開放した臨時無料駐車場に車を停めて、適当に秩父駅方面へ歩いてみた。地図があっても現在位置が分からず適当に歩いていたら、出発前の山車を発見しテンション爆上がり。気合いの入った担ぎ手の熱が伝播するかのようなドキドキを温めつつ、屋台や祭りの仕組みを観察した。
山車の引き廻しが始まると、大勢の人並みが合わせて移動する。老若男女の力強い掛け声が響き、通りをピッタリと塞ぐ近さで別の山車と遭遇すると、何やら挨拶みたいな儀式が始まった。翌日一台は坂道を登りきれず集合場所に間に合わなかったらしいが、同じ祭りは2度とないところも見所なのかもしれない。小腹が空いたがガッツリ食べたいというほどでもなかったため、洋菓子店の夜店でモンブランを購入。ボリュームがあって美味しかったが、ホットワインを売っている所も多く、甘い香りがそこら中漂っていた。花火は30分間隔で10数発上がったのだが、距離が遠いのと建物に遮られてほとんど見えなかった。花火と山車を絡めるなら本祭に行くべきだと思う。
京都の祇園祭でもそうだったが山車の方向変換に要する手順は力技で、秩父では前後の進行方向を変える場合に車輪を持ち上げる操作が見ものであった。最初に遭遇した上町の山車が車庫に仕舞われるまで見届けて帰路についたが、一日中神様と遊んだかのような余韻に浸っていた。