ノーザン・エッジ2023

ノーザン・エッジ2023と名付けられた日米空軍合同軍事演習において、三沢のF-16C(岩国へ)、EA-18G(築城へ)、アラスカのF-35A(百里へ)、ノースカロライナとアイダホのF-15E(岩国と築城へ)などが参加し、硫黄島空域中心に展開された。私自身は休日出勤が増えて代休を取得できる態勢が整ったこともあり、まずはどこの平日ローカルを撮りに行こうか検討を始めたのだが、アラスカの35はなんと7/2に偶然横田基地で撮れてしまった!元々百里遠征を考えていたが、空自も含めて大量に増えつつあるF-35はピントも合わせづらいしのっぺりしていて画的に映えない。せっかくの4連休なので、思い切って4月に満喫した岩国を再訪することに決めたのである。

 今回岩国の立ち位置は中継基地のためどの程度トラフィックが発生するか賭けではあったが、少なくとも所属する海兵隊F/A-18CやF-35Bは通常訓練(ローカル)を撮れる可能性が高く、訪問予定の7/14-15あたりは演習の最終日なので他の基地から何機か帰投して来るかもしれない。そんな期待を込めつつ金欠をやり繰りして往復夜行バスに加え、4月にも泊まったホテルAZを二食付きで予約。わずか二万円で2泊3日の旅程を確保できたのである。更に7/11には三沢に高速爆撃機B-1Bランサー、7/12には横田へ戦略爆撃機B-52Hストラトフォートレスが相次いで来日!世界中の米軍機が日本に集結して一体どうなっとるんだと浮き足立ったミリタリー界隈であったが、後に北朝鮮の弾道ミサイル実験に対応した米韓軍事演習の絡みと知り、国民の知らない差し迫った脅威に戦慄を覚える。核ミサイルを切り札に恫喝外交が有効だというフェイズに移ったら、どんな要求を出して来るのだろうか?隣接する我が国の対応も試されるだろう。

 さて出発の朝は、出勤前にB-52を金網越しに記録撮影。エンジン故障の名目でとても撮影しづらい場所に駐機してあることから中露あたりへの配慮だろうが、もはやマニアかスパイだか区別できないほどの怪しさでサッと撮影していくお仲間がいっぱいいた。グアムからすぐに飛んで来られるとは言え、目に見える形で示威をアピールするのも外交の一環なのであろう。ただコイツが過去の紛争で大量の血を吸ってきた事を思うとあまり気持ちの良いものでなく、先代B-29の残虐非道な無差別焼夷弾空襲は、日本人に取って記憶に新しいところである。撮影後普通に出勤し終日外作業だったが、昨日から同僚に「悪いが予定あるので定時退社しちゃう」とネゴっておいたため、巻きに巻いての17:40退社。シャワーと荷造りを済ませて19:14拝島駅発、20:30には東京駅鍛冶橋駐車場へ到着した。持ってきた惣菜で夕食を済ませて、21:00発の広島行き夜行バスへ無事乗車したが、四列シートながら縦の間隔が広めに取ってあるのに加えて隣席がカーテンで仕切られているため、感覚的には狭めのカプセルホテルくらいの個室感を楽しめた。またこの手の格安バスはトランクへの荷物預かりが一個に制限されているのだが、宅配便でよく使う2個を1個に結束してニコイチにしちゃう荒技を使って、うまいことキャリーケースと望遠レンズを一個にまとめて預ける事に成功!リュックだけシートの足元に置いて足乗せに使い、極めて快適に過ごせたのである。

 日常でも05:00くらいには目が覚めてしまう年齢になったが、新東名の工事と名神道の事故渋滞により迂回したそうで、広島到着が2時間押す事を知る。別に定まった予定があるわけでもないので、とりあえず広島に着いたら改札内の驛麺屋で広島名物がんす天うどん大盛り¥700を頂く。唐辛子と玉ねぎ入りの揚げかまぼこみたいながんす天は呉発祥だそうで、九州のうどんにもよく入っていた。どちらかといえば讃岐というより京風のあっさりうどんをつるりと啜り、例によって宮島目当ての外国人観光客で大混雑の山陽本線で11:30に岩国駅へ。東京で抱いていたノートラフィックは杞憂に終わり、駅を出るとF-16やF-35Bの爆音がひっきりなしに響き渡っていた。今にも走り出したい衝動を抑えつつ、3kmの道のりを早歩きで堤防先端へ。わずか10数名のスポッターに混ざってDA560mmを振り回していると二段堤防の下段で足を踏み外し道路へ転落!受け身を取って衝撃をいなしたが、お陰で左膝打撲擦り傷及び、レンズフードを割ってしまう。体の傷よりもせっかく修理したレンズが可哀想で意気消沈したが、あまりにも圧倒的なトラフィックに翻弄されて、ボラのジャンプを撮る暇もなかった。成果に代償は付きものなのであろう。

 まずは地元のF-35Bが離陸し、先ほど上がったと思われる三沢から展開中のF-16Cが着陸。馴染み深い「Blade11」のコールサインで、F/A-18Cも降りてきた。あっという間に腹八分目で大いに満足したが、モンタナ州からはるばる飛来したF-15Eストライク・イーグルが遂に降りて来たのである。黒っぽい塗装にコンフォーマルタンク、11tもの兵装を搭載可能なハードポイントなど、最強戦闘爆撃機に相応しい重厚感!まさにコレが撮りたかったのである。めでたく満腹を味わったため、あとは海上自衛隊のU-36A、US-2、LC-90、UP-3D、EP-3、MCH-101、海兵隊のC-135も押さえつつ、18:30に撤収。涼しかったので1時間歩いてホテルにチェックインしたが、時間と体力を節約するために行きはタクシーを使うべきだったと反省。

 さっとシャワーを浴びてホテルのバイキングレストラン志高へ。メニューは前回とほとんど変わらなかったが、激辛ソースフェアという試みでタバスコが置いてあったり、季節メニューの冷やし素麺や冷しゃぶが有り難く、体を冷やしながらカロリーを摂ることができた。ここのアイスコーヒーがめっちゃ美味いのだが、前回飲み過ぎて眠れなくなったため最後の一杯に留め、乾杯のみジンジャーエール、その後は烏龍茶で我慢。余韻に浸りながら数枚現像し、閉店の22:00まで粘った挙句部屋に戻って気絶するかのように昏倒した。さて、明日はどう動くかな。