コミックマーケット103参戦!

コミックマーケットの印象は、オタクの祭典とは表向きで、エロと嗜好の巣窟という認識だった。それだけに地方在住時よりいつか訪れてみたい夢の国であったが、夏コミはお盆、冬コミは大晦日開催なので鹿児島在住の家族持ちにとっては非常に難易度が高く、東京に出て来てからもそれらの期間は帰省のため参加できないというジレンマに苛まれていたのである。隠しきれない煩悩に悩まされた日々に光明が刺したのは2023年。今年は義父の急逝も影響し2月と8月に帰省した。そして年が明けると、娘は大学受験を控えている。そんなピリピリした自宅に都会沼へ没入した浮かれポンチがヘラヘラ帰宅したら家族の視線が刺さるのは自明の理と推定し、卒業式に合わせて2月に帰ることにしたのである。そうなるとかねてより狙っていたコミケ参戦の目が出たのであるが、客として見物するだけでなく、あるいはサークルとして頒布する側で参加できないものかと、ふと考えたのである。ブースを設ける写真展は横浜(2019)と千代田区(2021)の御苗場で経験があり、印刷会社出身なのでデザイン系ソフトは一通り使える。同人出版社を当たったら面付け(大判紙にページを割り当てる技術)不要PDF送信で校正はオンライン可能とあり、自費出版のハードルは恐ろしく下がっていた事が分かった。なお鉄道空撮で有名なY先生の過去の頒布品を参考にさせて頂き、後日作品の講評まで賜った。

 ちょうど温めていた企画があって、今年どうしても会いたかったF-15Eストライクイーグルの撮影で岩国と三沢を訪れたのだが、その総集編として友人に贈呈するため一枚だけポスターを作っていた。それを膨らませてA4版16ページの中綴じ薄い本を作るにあたり、中見開きにA3サイズのカレンダーを配置するアイデアが生まれたのだが、昨年仕事で横田基地を訪れた際に米国の祝日が掲載されたカレンダーを頂いて、もし米国の祝日を予め知っていれば有給休暇取得の参考となり、ノーフライトデーを避けられるかもしれないと気付いて日米両方の祝日を掲載したのである。またこのページのみ針金を解放してページごと外せば両面ポスターとして使えるよう配置を工夫した。ぶっちゃけ岩国でのストライクイーグルの撮れ高は少なく出版が危ぶまれたが、なんと三沢航空祭へ嘉手納から地上展示のため飛来し、至近距離で細部をガッツリ撮影できたのである。これであらかた構成が定まり、丸一日をレイアウトに費やしてデザインが完成。紙質やコーティングは印刷会社時代に好きだったものをチョイスして、なんとか書店流通レベルの品質が誕生した。なお外国人に買ってもらうため全て英語表記としたのだが、まさかの米軍F-15や航空自衛隊の整備士さんが来店し、本を購入してもらえたのである。一生懸命情熱を注げば、奇跡は必ず起こるのだなぁと。

 サークル参加にあたり、せっかくなので温めていたコスチューム・プレイも検討する事に。以前厚木基地フレンドシップデーのエプロンに展示してあったEA-18Gグラウラー電子戦機の横で発艦指示士官「カタパルト・オフィサー」のポーズを自撮りしたのだが、トップガン・マーベリックのオープニング映像を参考にコスチュームを吟味。本物のヘルメットとゴーグルは手に入ったのだが、シャツは汎用品、救命ベストはワークマンのヒーターベストを転用し、本来「SHOOTER」とプリントしてある部分に「HEATER」とアイロンプリント。フェイクではなく保温ベストとしてアピールしたつもりが、誰にもロゴ間違いを指摘して貰えなかった。お隣のブースに戦闘機パイロットのコスプレイヤーがいらっしゃったので合わせ撮影してみたがなかなかの傑作で、某有名レイヤーさんが撮影に加わり拡散して下さったことも。結局この日は一日中この姿で接客したのだが、初めて挨拶したフォロワーさんが東洋バルーンの作業服でいらっしゃって「仕事帰りですか?」と尋ねたところ「まぁそんなものです」とはぐらかされる。実はその作業服が、翌朝ゴジラ-1.0を鑑賞した際に東洋バルーンの社員のコスプレだったと気付き、シリアスな展開に涙した矢先の時限式ネタバレに爆笑してしまう。頓珍漢な質問をした私は見事にハマってしまった訳ではあるが、独りよがりな世界だと思っていたコミケの世界観が、共感、共有できれば何倍にも楽しみが膨張する事を痛感したのである。まだ見たことのないオリジナルの創作物が集う場所、まさに異世界への次元超越旅行ではないか。コミケ凄い!

 他にはワンオペだと自分が挨拶回りやコスプレ撮影する時間が取れないだろうと予測し、先日撮影会で知り合ったイベコン経験のあるモデルさんを売り子に起用。商品は印刷所から会場に直送し、当日は販促品だけ持ち込み。サークル入り口が分からず苦労したがXで尋ねたら教えて貰えて、A-1サイズのタペストリーとテーブルに敷く垂れ幕をセットすると初参加とは思えない整ったお店が爆誕。見本誌を提出してようやく頒布が可能になるシステムだが、朝7時半に到着したおかげで朝食のうな重を食べたりお土産を買う余裕があった。失敗点としては搬入数の1割しか捌けずほぼ丸ごと自宅へ郵送したため余計な労力と費用が掛かった事、落ち着いてコスプレ撮影や物色できなかった事、成功したのは売り子さんが寒かろうとUSBヒータークッションを備えて好評だったこと、コスプレのイヤーマフのおかげで人混みが苦手な私でも雑音をカットできたこと。何より大勢のフォロワーさんが訪ねて来て下さり、またブース仲間のサポートにも数多く助けられた。決して私が主人公では無かったが、確かにコミケの世界の住人として寄与できたように思えたのである。憧れていた同人作家さんになれた所で次の目標は、職業作家になる事。写真集と著書は一般書店に並ぶ事を目標に設定する。構想はいくらでもあり、費用さえあればいつでも自費出版できるので、あとはきちんと喜んで貰えるようなコンテンツを育てるのみ。取り急ぎオンラインショップ「BASE」を立ち上げ、またメロンブックスさんの店頭およびオンライン販売も実施した。海外撮影や空撮も取り組みたいし、夢はまだまだ続く。こんな充実した大晦日に感謝したい。関わって下さった皆様には厚く御礼を申し上げる。ちなみに当日35冊販売し、今日までに20冊ほどお買い上げ頂いたためコスプレグッズと什器代くらいはペイできた模様。大勢のプロカメラマンや自衛隊関係者へも贈呈した。ちなみにPENTAXクラブハウスにも置いてある。A4カレンダーは無償でいつでもお渡しできるのでお声がけ頂きたい。手渡しだと¥1000税込みだが、通販だと手数料や送料が掛かるためご承知おきのほどを<(_ _)>

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